2022.07.05

村上宗隆は三冠王を達成できるのか? 広澤克実が分析「最大の壁は首位打者だが、ヒットにこだわりすぎるは危険」

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Koike Yoshihiro

 7月2日にヤクルトが、プロ野球史上最速で優勝マジック「53」を点灯させた。その大独走の原動力となっているのが、高卒5年目の村上宗隆である。7月4日現在(以下同)、打率.307(リーグ6位)、本塁打29本(リーグ1位)、打点78(リーグ1位)と、「三冠王」の可能性も十分にある。2004年の松中信彦(当時ダイエー)以来、史上8人目・通算12度目の「三冠王」への期待は高まるばかりだ。村上の快挙達成に必要なことは何なのか? かつてヤクルトの主砲として2度の打点王(91年、93年)に輝いた広澤克実氏に聞いた。

本塁打、打点でセ・リーグトップを走るヤクルトの村上宗隆本塁打、打点でセ・リーグトップを走るヤクルトの村上宗隆 この記事に関連する写真を見る

好打者の4条件

 いい打者というのは、ボールを長く見られて、「ストレートか変化球か」「ストライクかボールか」の判断するエリアが捕手寄りにあります。いわゆる「呼び込んで打つ」ことのできるバッターが好打者というわけですが、それには4つの条件があります。

① 体が前に出ない(ステップしたあと、体が前に突っ込めば18.44mの距離が短くなってしまう)
② バットをコンパクトに出せる
③ ヘッドスピードが速い
④ ステップ幅が狭い

 この4つが好打者の条件なのですが、村上はこのすべてを兼ね備えています。だから、ホームランだけでなく、打率も残せるのです。

 私は1985年にヤクルトに入団したあと、95年から99年まで巨人、2000年から03年まで阪神でプレーしました。現役時代、落合博満さんとランディ・バースというふたりの「三冠王」のバッティングを間近で見てきました。

 落合さんはロッテ時代の1982年、85年、86年、バースは85年、86年に三冠王に輝いています。じつは落合さんは、中日時代の91年も三冠王のチャンスがありました。その年、落合さんは本塁打王のタイトル(2位/池山隆寛)を獲得するのですが、打点王は私(2位/落合)、首位打者は古田敦也(2位/落合)と、結果的にヤクルト勢が落合さんの三冠王にプレッシャーをかけたわけです。