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村上宗隆は三冠王を達成できるのか? 広澤克実が分析「最大の壁は首位打者だが、ヒットにこだわりすぎるは危険」 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Koike Yoshihiro

 落合さんとはのちに95年から2年間、巨人で一緒にプレーしたのですが、バッティングスタイルは村上と少し違います。右打者の落合さんはインコースのやや甘い球や真ん中のボールを逆方向(ライト方向)に打った打者です。逆に左打者の村上は、インコースのボールは引っ張り、真ん中はセンター、アウトコースはレフトに流す。

 どちらかと言えば、コースに逆らわず打つことができる村上はバースに似たタイプの打者です。昨年まで3年連続レフト方向に2ケタ本塁打を放っていますが、その数字がそれを証明しています。

典型的なホームラン打者

 また三冠王を獲るには自身の成績だけでなく、ライバルの動向も気になります。松中信彦が三冠王を獲得した2004年は、アテネ五輪が開催された年で、大会期間中もプロ野球の公式戦は通常どおり行なわれました。松中は五輪には出ませんでしたが、小笠原道大(日本ハム)、中村紀洋(近鉄)、谷佳知(オリックス)、和田一浩(西武)らのライバルが日本代表として参加しました。なので、数字を積み重ねる本塁打や打点において、若干有利だったかもしれません。

 村上のライバルとしては、岡本和真(巨人)、佐藤輝明、大山悠輔(ともに阪神)、牧秀悟、佐野恵太(ともにDeNA)、坂倉将吾(広島)、大島洋平(中日)らの名前が挙がります。本塁打、打点において、ライバルとなるのは岡本でしょう。彼もホームランを打つことに関しては、リーグ屈指の技術を持っています。今は村上が独走状態ですが、岡本がいつ量産しても不思議ではありません。

 ただ村上にとって、三冠王の最大の壁となるのは首位打者だと思います。落合さんやバースは首位打者争いでも傑出した力を発揮するバッターだったのに対し、村上は典型的なホームラン打者です。ヒットを打ったり、打率を上げたりすることに関しては、ふたりの域に達していません。

 とはいえ、年を重ねるごとにヒットを打つ技術は上がっています。2年目よりも3年目、3年目よりも4年目と、それぞれ驚くような成長を見せました。今シーズンもここまで打率.307をマークしているように、さらなる飛躍を遂げています。

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