高木豊がセ・リーグの交流戦を総括。最下位の広島が「真っ先にやめたほうがいい」起用法、ヤクルト追走の一番手の球団とは? (3ページ目)

  • 浜田哲男●取材・文 text by Hamada Tetsuo
  • photo by Sankei Visual

広島は坂倉をどう育てる気なのか

――次に、5勝13敗と大きく負け越し、3年連続で交流戦最下位となった広島の課題は?

高木 捕手の起用法です。會澤翼が捕手で出る場合は坂倉将吾がサードを守ったり、中村奨成の打撃が好調だったら外野を守らせたり......。すべて"ご都合主義"なんですよ。坂倉のサードの守備力はプロとしては高いとは言えませんし、坂倉本人も困る部分もあるんじゃないですかね。

 捕手の選手が他のポジションでミスをすることを、もし自分が捕手だったらどう思うのか。「投手を引っ張っていく上で、そこでエラーされたら計算が狂うよ」と思うはずなんです。どんどん委縮していってしまうリスクもあるので、都合よく選手を使うことは真っ先にやめたほうがいい。

 選手たちに負担をかけますし、何のプラスにもならない。ただ試合に出て、消化して、結果が出るだけ。中途半端な使い方をしていると、ある程度試合に出られても守備に自信はつきませんし、将来的にも中途半端な選手にしかならないと思います。

――坂倉選手は、高い打撃力を買われてサードでの起用となっていますね。

高木 坂倉は捕手でレギュラーを取れる、というかレギュラーにしなきゃいけない選手です。そういう選手にはひとつの ポジションを与えないといけません。會澤と坂倉を比べた時に、どっちを取るのか。それが坂倉なのであればマスクを被らせて、會澤の起用法を考えるべきだと思うんです。そういう決断ができないうちに、中村に外野を守らせたり捕手をやらせたり......「中村はそんなに器用な選手か?」という点も疑問ですしね。

――巻き返しを図る上での投打のキーマンは?

高木 投手は森下暢仁です。現在は4勝4敗ですが、彼の実力からすれば物足りません。大瀬良大地もいいですが、そろそろ森下がエースに君臨しなければいけない。

 打者は先ほど話した坂倉と、小園海斗でしょう。小園は将来的に、広島を背負っていく選手。調子が悪いからといって外しているようでは伸びません。疲れもあるかもしれませんが、彼に関しては疲れた中でどうしたら結果を出せるのか、といった苦しみを今のうちに体験させるべきだと思います。調子のいい時はバットを振ればヒットになる。選手は調子が悪くなった時に初めて考えを巡らせます。そこで学ぶことが最も勉強になりますからね。

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