プロ注目左腕に起きた悲劇。亜細亜大の指揮官が悔やむ「パフォーマンス向上の落とし穴」 (4ページ目)
リニューアルされた日の出寮で学生生活を始めた大出は今年、大学2年目を迎えた。亜細亜から山﨑康晃(DeNA)や東浜巨(ソフトバンク)、九里亜蓮、薮田和樹(ともに広島)、近年では平内龍太(巨人)や内間拓馬(楽天)、岡留英貴(阪神)ら好投手が次々と出る理由を肌で感じている。
「一番は練習をすごくしっかりやる。球数を投げられるピッチャーが多いですね。休むほうが怖いくらいの気持ちでいる選手が多いので。ちゃんと投げ込み期間があって、トレーニングもしっかりやる。それがピッチングにつながってくるのはあるのかなと感じています。同時に機材がなんでも揃っていて、ケアやダウンもしっかりしていますね」
トミー・ジョン手術から復帰した松本はこの春、リーグ戦でマウンドに帰ってきた。5月12日の青山学院大学戦では6回から登板し、2イニングを投げて勝利投手になった。
大出は上を目指す投手たちをサポートしながら、自身はアナリストとしてプロに進みたいと考えている。
「1試合ごとの投球数のベースラインを出せれば、画期的だなと思って試行錯誤しています。一人ひとり個性みたいなものがあるので、そういうのを大事にしたいですね。大学までくる選手はみんな上手ですし、亜細亜は毎年プロに行く選手が出ているのであと押しができたらいいなと思っています」
誰より練習し、トレーニングを重ね、ケアも入念に行ない、テクノロジーも活用していく。亜細亜大学が優秀な投手を育成する裏には、"合理的な根性論"がある。
投手の宿命で、ケガは隣り合わせだ。それでも一定以上の球数を投げ、予防にも最大限に気を遣う。結果、羽ばたいていく投手がいれば、故障に見舞われる者もいる。
投手育成論に正解はない。だからこそ亜細亜は試行錯誤し、新しいものを取り入れながら、よりよい方法を模索し続けている。
一部敬称略
第13回につづく
フォトギャラリーを見る
4 / 4