大谷翔平が右腕に巻いている黒いベルトって何? リアル二刀流をサポートする秘密兵器 (4ページ目)
この少年はいわゆる"正しい投げ方"に一歩近づけたと言えるが、たとえ一定水準の目を持つ指導者がいなくても、パルスがあれば誰でも数値を見ながら投球フォームを改善できるわけだ。パルスの値段は3万円強で、アプリは無料となっている。
サブスクリプションの「パルスダッシュ」というサービスに加入すれば、パルスのデータを蓄積しやすくなる。ひとりにつき年間約2万円かかるが、チーム全体の投球管理が可能になる。
たとえば先発投手の登板日を設定し、「ACWR」の値が1.3を超えないようにキャッチボールや遠投、ブルペン投球などピッチングの量と強度を管理しながらコンディションを高めていく。いざ迎えた本番では、「ACWRが1.5や1.7になるまで投げると故障リスクが高まるから、今日は80球までにしよう」などと根拠を持って球数を決めることができる。
こうして"投げすぎ"による故障の可能性を下げると同時に、アプリで示される「推奨1dayワークロード」を参照すれば、"投げなさすぎ"も避けられる。目標設定した日に向けて、自分はいつ、どのくらい投げて、どのタイミングで休養をとるのがいいのか、根拠を持って管理していくことができるのだ。
これまでの投手マネジメントは、指導者や選手自身の感覚、経験則によるところがほぼすべてだった。令和の時代に広まりつつあるパルスは、科学的根拠を示すという点で画期的と言える。
じつは、このテクノロジーを活用し、新たなチャレンジを始めている名門学生チームがある。山?康晃(DeNA)、東浜巨(ソフトバンク)、九里亜蓮、薮田和樹(ともに広島)、?橋遥人(阪神)ら好投手を次々とプロに輩出し、「日本で最も厳しい」と言われる亜細亜大学だ。
第11回につづく
(一部敬称略)
フォトギャラリーを見る
4 / 4