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ソフトバンク三森大貴が6年目のブレイク。恩師は「頑丈な体になったら、とんでもない選手になる」 (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Koike Yoshihiro

反面、体は細く、筋力や体力はまだまだだったと言う。

「結構、野球の話も、突っ込んだ話をしたがる子で、バッティング技術も一級品でしたけど、それ以上に、ピッチャーの配球に対する"読み"が鋭かった。私もそういうことに興味があったので、カウント球は何なのか、勝負球は何なのか、こういう場合はどんなボールの確率が高いのか。正攻法でくるピッチャーなのか、裏をかいてくるタイプなのか......そんな話を選手たちによく話していました。なかでも三森はすごく熱心に聞いていました。高校時代から思いきりよく『スパーン!』と飛ばしていたのは、配球読んでないとなかなかできないですよね。2年生の秋には5割ぐらい打って、三森の活躍がそのままチームの台頭になって、センバツにつながりましたから」

青森山田の二遊間コンビの可能性

 186センチの長身がゆえ、一軍に定着しようかという今はどうしても足元を攻められる。それでも150キロ前後の速球にスライダー、サウスポーからはツーシームを沈められても、ギリギリまで球筋を見極めて、最後の最後でスパッとバットを出して、ファウルを打てるのは、立派な「プロの技術」だろう。バットコントロールの自在性とスイングスピードが兼ね備わっていればこその"芸当"である。

 相手バッテリーにしてみれば、なかなかアウトになってくれない打者......。散々、体力を消耗させられ、面倒くさくなったところで、ポンとシングルで出られた時の"疲労感"は、やられた者でなければわからない。

鼻の下にヒゲをたくわえ始めたせいか、クールに見える横顔のせいか、攻守にプロらしい渋さを感じるプレースタイルのせいか、もう10年ぐらいはプロの飯を食ってきた選手かと思っていたら、1999年2月生まれの23歳。まだプロ6年目の「若手」じゃないか。

2016年のドラフトでソフトバンクに入団した同期10人(育成も含む)のうち、現在チームに残っているのは、田中正義と九鬼隆平、そして三森の3人しかいない。想像をはるかに超えるサバイバルを生き抜いたしたたかさが、まだ若い「23歳」の表情に、人としての深みを刻み込ませたのかもしれない。

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