「長嶋茂雄超え」と「清原和博超え」。中村剛也が稀代のスラッガーであることを証明する2つの大記録 (2ページ目)
プロ野球が飛距離の出ない「統一球」を使用した2011、2012年、セ・リーグの本塁打王は2年とも31本でバレンティンだったが、パ・リーグも中村が2年連続で獲得。しかも2011年は48本塁打を放ち(2012年は27本塁打)、これはこの年のロッテのチーム本塁打数46本を上回る数字だった。これだけでも中村がいかに突出した存在だったかがわかる。
ホームランを打つ極意
かつてバッティングは、「ダウンスイング、レベルスイングならいいが、アッパースイングはダメ」と言われる時代があった。しかし、メジャーリーグでは2015年から"スタットキャスト"というデータ測定システムが全球場に導入され、さまざまなデータが計測されてきた。そのなかで「打球速度(初速)」と「打球角度」の組み合わせによって、いい打撃結果が出やすいという「バレルゾーン」の存在が明らかになった。
98マイル(約158キロ)以上、角度26〜30度の打球が最も安打が出やすいとされ、打者は打球に角度をつけて打ち上げる。これが数年前から日本でも話題になった「フライボール革命」だ。
史上11位の通算474本塁打の田淵は、ボールの少し下にバットを入れることでスピンをかけ、飛距離を出した。その薫陶を受けた掛布雅之は、1979年に48本塁打でタイトルを獲得したが、ホームランを打つ秘訣についてこう語る。
「当時はフライボール革命なんていう言葉はなかったけど、ボールの下にバットを滑り込ませる打法は、田淵さんの教えを聞き、感覚と練習で身につけた」
軽く振って、遠くに飛ばすイメージが強い中村だが、飛ばす極意について3つのポイントを挙げる。
・ボールの半分より下を打つ
・外角の球はインサイドアウトのスイングではなく、ミートの前にバットのヘッドを走らせるイメージでボールの外側を叩く
・力を抜いた状態でスイングし、スピードが出たポイントで打つ
つまり、「フライボール革命」や「バレルゾーン」という言葉がなかった時代から、中村は打球に角度をつけること、スイングスピードを意識していたことがわかる。
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