オリックス吉田凌「僕が首を振ったら、どうせスライダーだろうと」。7割、宝刀を抜き続ける甲子園優勝投手のメンタル
プロ野球2022開幕特集
オリックス・吉田凌インタビュー
26年ぶりのパ・リーグ連覇&日本一を狙うオリックスにとって、ポイントのひとつがブルペンだ。山本由伸や宮城大弥ら先発陣は揃うだけに、守護神・平野佳寿につなぐセットアッパーを固められれば、勝利への道は一気に整備されるだろう。
飛躍を期待されるひとりが吉田凌だ。
高卒6年目の昨季は右肩痛で出遅れたものの、後半戦から一軍に登録されると18試合で防御率2.12、1イニングに走者をどれだけ出したかを示すWHIPは0.65と安定感を発揮した。
2015年ドラフト5位で東海大相模から入団した24歳この記事に関連する写真を見る とりわけその名を知らしめたのが、「史上稀に見る大激戦」と言われたヤクルトとの日本シリーズだった。
接戦が続いた6試合のうち5度登板。吉田は1点も与えられない局面で投入され、スライダーを投げ続けた。
「みんな、わかってんちゃうかなと思いながら投げていました。僕が首を振ったら、どうせスライダーだろうと。そのなかで抑えられたことは一番の自信になりましたけど、みんなわかっている場面で投げるスライダーほど怖いものはなかったです」
ペナントレースでは全投球の66.2%がスライダーで、被打率.143だった。海の向こうでは2017年のア・リーグ地区優勝決定戦でヒューストン・アストロズのランス・マッカラーズ・ジュニアが24球連続ナックルカーブを投げたこともあるが、日本人でこれほど"宝刀"を抜き続ける投手は珍しい。
「ほぼ7割ですよね。データを見直して、10球に7球かと思いました」
絶対的な信頼を寄せるスライダーは、吉田の野球人生を切り拓いたボールだ。
中学生になって兵庫北播シニアに入団し、たまたま練習を見に来ていた監督の息子に「何か変化球を教えてください」とスライダーの投げ方を聞くと、1球目からきれいに横滑りした。以来、盟友・小笠原慎之介(現中日)とともに東海大相模で甲子園優勝を果たした高校時代を含めた現在まで"宝刀"になっている。
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