オリックス吉田凌「僕が首を振ったら、どうせスライダーだろうと」。７割、宝刀を抜き続ける甲子園優勝投手のメンタル (4ページ目)

将来クローザーへの野望は？

「よく高校時代と比べて聞かれるけど、甲子園なんて楽勝ですよ。優勝争い、クライマックスシリーズ、日本シリーズの経験をすると、甲子園なんて足もとにも及ばない。今思うと、ですよ（笑）。オリックスに入って４年目までは、プロ野球の厳しさを全然わかっていませんでした」

『甲子園優勝投手』と聞くと"お山の大将"のようなイメージが浮かぶものの、吉田は逆だ。むしろ、威勢のいい言葉がまるで出てこないことが印象に残る。

「僕はこうですけど、小笠原は違うんじゃないですか。わかんないですよ。マウンドに行くのが、どうしてもそういう場面が多いので。責任感を持ってやらなアカンなという思いは年々増していますね」

　高卒７年目を迎えるにあたり、今季掲げる目標は50試合登板だ。

「どういう場面でも『凌やったら、抑えてくれる。何とかしてくれる』という信頼を築いていければ、自ずとそういう試合数を投げられるのかなと思って立てました」

　では、いずれクローザーを務めたいという野望はあるのか。

「今のワンポイントだったり、７、８回もすごくやりがいを感じています。その立場で数年しっかり結果を残して、チームの誰からも信頼が得られるピッチャーになって、やっとできるのかなと思います。今の時点では全然想像できないですね」

　守護神・平野の冷静なマウンドさばきを見ながら、「９回に１、２点勝っている場面で行くなんて、ようできひんな」と感じている。「（７、８回の）２アウト満塁や、一、三塁のほうがまだいいな」と。

　おそらく、それほどプロの厳しさが身に染みているのだろう。昨年の日本シリーズで刻まれた"２敗"は、それくらい重くのしかかった。

「周りの方からは『白星や負けがつくところで投げられていること自体、本当にすごいことや』と言ってもらえるけど、シリーズを見返して、僕がそこの１、２アウトをしっかり取っておけば、チームの結果も変わったと思いました。あの２敗がなければ、日本一になれた可能性がすごくあった」