奥川恭伸、同期のライバルを語る「佐々木朗希、宮城大弥は僕を高めてくれる存在」
プロ野球2022開幕特集
ヤクルト奥川恭伸インタビュー(後編)
昨年7月26日、公式戦の五輪中断期間中に奥川恭伸(東京ヤクルトスワローズ)は、二軍の楽天戦に先発登板。この試合、マスクを被ったのは星稜高校の1年後輩でもある内山壮真だった。結果は3回を投げて2安打、2三振、1四球、1失点。ボールが先行する奥川らしくない内容だった。
試合後、奥川はプロの世界で後輩とバッテリーを組んだことの喜びや感傷を口にすることはなかった。
「僕も内山のことを理解しないといけないですし、内山も僕のことを理解しないといけない。そうしないといいピッチングはできないので......」
インタビュー前編では「先発投手」をテーマに語ってもらったが、後編では奥川が考える「バッテリーの相互理解」「ライバルの存在」について話を聞いた。
昨シーズン、チーム最多タイとなる9勝をマークしたヤクルト・奥川恭伸この記事に関連する写真を見る
バッテリー理解度の重要性
── ピッチャーは唯我独尊が許される存在ですが、奥川投手が以前言っていた「ピッチャーはひとりだけではいい投球はできない」という言葉が強く印象に残っています。この考えはいつ頃からですか?
「プロに入ってからです。僕は小中高とずっと同じキャッチャー(山瀬慎之助/巨人)に受けてもらっていて、プロで初めて違うキャッチャーに受けてもらったのですが、考え方などに差があることでリズムにうまく乗れないというか......。それまで自然とできていたことが、そうならなくなったというか。その時に、お互いが相手を知ることこそが必要なんだと思いました」
── そのためにどのようなことを?
「キャッチャーの方と話す機会が増えました。どういう意図でその球を要求したとか、自分はどういう意図をもってそこに投げたとか。去年はそういうふうに進めていって、投げていくなかで自分の考えているサインとキャッチャーから出てくるサインがすごく合うようになってきたんです。去年成績がよくなっていったのも、そのことが関係しているんじゃないかなと思っています」
── 昨年は中村悠平選手、古賀優大選手とバッテリーを組みました。複数のキャッチャーを知ることで、自分のピッチングに与える影響はありましたか。
「はい、ありました。中村さんと古賀さんとでは同じタイミングでも出るサインが違いますし、僕はそのサインの意図を考えることで理解も深まります。そのことで、自分のピッチングの引き出しの数がひとつだったものが、2つ、3つに増える可能性があります」
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