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奥川恭伸がメジャーの偉大な大投手から学ぶエースの哲学「勝つことよりも負けないこと」 (3ページ目)

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

ブレーブスの黄金期を支えたマダックス(写真左)とグラビンブレーブスの黄金期を支えたマダックス(写真左)とグラビンこの記事に関連する写真を見る── 今年のキャンプで、奥川投手は力感なく強い真っすぐを投げることに取り組まれていました。

「なるべく腕を使わず、体の中心部を使うことを意識しています。それがうまくいけば、腕にかかる負担が分散され、登板間隔が詰まっても投げられるのかなと。理想のフォームにはまだ遠いですが、とにかく一番嫌なことはケガをすることなので、そうならないように心がけています」

奥川が考えるグッドゲームは?

── マダックスに1試合を27球で終わらせることが究極かと質問すると「そんなことは考えたことがない。2球で2アウトならできるけど」とあっさりしたものでした。奥川投手は去年のクライマックス・シリーズ(CS)ファイナルで、巨人相手に98球完封勝利を飾り"マダックス"を達成しました。公式戦では54回1/3イニング連続無四球もありました。

「27球で試合を終えるのは現実的に無理な話ですからね。でも、なるべく少ない球数でそこに近づくようにできればと思っています。球数の少なさは自分の持ち味のひとつでもあるので、そこは続けていきたいです」

── マダックスは自分の考えるグッドゲームについて、「自分が考えたのと違うボール、つまり失投が5球から10球でおさまればグッドじゃなくてグレイトゲームだ。だからといって勝てるわけじゃない。失投が30球あっても勝てることがあるし、失投が1球でも負けることがある。それが野球というゲームなんだ」と話していました。

「本当にそうだと思います。自分がいいなと思った日でも負ける試合がありますし、調子がよくなくても勝てたり。甘くいったボールが凡打になることもあるし、厳しいボールをホームランにされてしまうこともありますし......」

── 奥川投手の思うグッドゲームとは?

「何球というのは難しいですけど、なるべく失投をなくしたいですね。その失投にしても、真ん中に投げてもいいタイミング、投げてはダメなタイミングなど、いろいろな場面があると思います。投げたらダメな場面でも失投をしないようにしたい。おそらくマダックスは、そのことを失投と言っているんだと思うんです。そうなれば勝つチャンスはすごく大きくなるので」

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