栗山監督に問う「大谷翔平、ダルビッシュ有、山本由伸...侍ジャパンのドリームチーム結成はあるか?」 (5ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sano Miki

── どこまで任せるか、どこで線を引くか。

「今までプレーオフや日本シリーズを経験してきて、やっぱり短期決戦では絶対に手遅れになったらダメだというセオリーは自分のなかにできあがっていますから、ずっと時間をともにしてきたわけではない選手たちに対して非情になりきれるのか。それが本当の優しさだということをこの10年で学んできたはずなので、そうなった時、行動に移せるかということを今回は野球の神様に試されるんじゃないかなという覚悟はしています」

【日本代表の使命とは?】

── 栗山監督は、来年のWBCで日本が勝つことはこの国の野球界にとってどのくらい必要で、日本代表とはどうあるべきだとお考えですか。

「日本中の男の子、女の子、みんなに『カッコいいな』『こんなふうになりたい』『こういう舞台で野球をやりたい』と思わせることが日本代表に課せられた責任だと考えています。次の世代に野球というものをいかにつないでいくか。先輩たちがつくったものを受け継いで、いい形で次の世代へ渡していくことが何よりも大事ですし、そういう意味ではオリンピックで金メダルを獲ったあとのWBCというのはかなり大きな意味を持っていると思っています。

 これだけ高校球児が減ってきて、子どもたちが野球から離れている流れを食い止めるのは、やっぱり『ああいう選手になりたい』と思ってもらえる選手しかいないんです。僕らも王さん、長嶋さんみたいになりたいと思っていましたし、そういう選手を世の中に送り出さなきゃいけない......これが日本代表の使命だと僕は思っています」

── そのために監督としてはできることは何だとお考えですか。

「勝ちきって、みんなで一緒に『ヨッシャー』と喜んで......少なくともそういう盛り上がりがなければ、ああいう選手になりたいと子どもたちにはなかなか思ってもらえないでしょう。勝たなければ日本代表の使命を果たせないというのは、そういうことなんです。僕にとっては野球にもう一度、恩返しするチャンスを野球の神様に与えてもらったんですから、どんなことをしてでも勝ちきらなくちゃいけない。そこに向かって頑張らせてもらえるというだけで、感謝しなくちゃいけないことですからね」

おわり

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