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栗山監督に問う「大谷翔平、ダルビッシュ有、山本由伸...侍ジャパンのドリームチーム結成はあるか?」 (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sano Miki

── 監督1年目だった2012年の自分に何か言ってあげられるとしたら、どんな言葉をかけますか。

「うーん......『もっと厳しくいきなさい』かな。最近、"大善は非情に似たり"という言葉を噛み締めているんです。"小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり"。つまり、目先の小さな優しさはいいことに見えるんだけど、本当は相手のためにならない大きな悪につながる、と。でも信念を持って、相手のことを本当に考えて行う大善は、厳しいことも含めて非情に見えるけど、それが将来に生きることがあるという......。

 それは今となっては、ああ、あの時に、この時に、と思い浮かぶことがたくさんありますね。選手のために、選手のためにと言いながら、どこまで大善を貫けただろうって思うんです。もっとプレッシャーをかけて、叱って、ときには試合に使わず、厳しくやってあげなくちゃいけなかったのかなって。もっともっと大胆にやるべきだったかなという気持ちはあります」

── その考え方は短期決戦、国際舞台でも生かせるんでしょうか。

「それは、たとえば大谷翔平が日本代表の3番とか5番を打っていて、まったく打てなかった時、最後まで我慢したくなるじゃないですか。翔平の才能をわかっているからこそ、信じたいと思う。それを、バサッとスタメンから落とせるかどうか。試合に使い続けてチームが勝てなければ、彼はすごく苦しむでしょう。その時、僕が非情になりきれるか。大善という前提のもとに、非情になりきることができれば、経験を生かせたことになるのかもしれません」

── そこは最後まで試合に出て、決勝タイムリーを打った2009年のイチロー選手のように、試合で勝つために外さないほうがいいという判断もあり得ますよね。

「もちろん、あり得ます。翔平のそこまでの努力とか向かっていく姿勢を当然、見ているわけですから、最後、打てなくてもいいからコイツにかけようという判断も、もちろんあり得ると思います。でも、打ち方とか調子を見ていて、自分が心の中なかで『これは打てない』と思っているのに、それでも翔平だからとか、村上(宗隆)だから、岡本(和真)だから、坂本(勇人)だから、山田(哲人)だからというのはやっぱり違うんです。日本代表というチームのなかで非情になることって簡単なことではないと思いますが......」

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