阪神時代のビッグボス二刀流、3秒2球ノック、夜の街での「仰木マジック」も。春キャンプで起こった伝説の瞬間 (4ページ目)

  • チャッピー加藤●文 text by Chappy Kato
  • photo by Sankei Visual

【仰木彬の「泡盛」】

 昨年は、25年ぶりにパ・リーグ制覇を果たしたオリックス。1995年・96年と連覇を果たした時の指揮官が仰木彬監督だ。球界きっての酒豪で知られ、オリックスの当時のキャンプ地・宮古島でも豪遊ぶりは変わらなかった。

 仰木監督は練習が終わると、選手たちや報道陣を引き連れ夜の街へ。街で「あら、監督さん!」と島民が挨拶すると、「おお、今から飲みに行くとこや。一緒に行くで!」とどんどん誘い、監督の背後にはいつも行列ができていたという。

 酒席に同行した記者によると、仰木監督は毎晩100万円の束をポケットに入れていて、使いきったら解散、という豪快きわまる飲み方だったそうだ。

 ところで、宮古島の酒といえば「泡盛」である。もちろん仰木監督の大好物。1996年、仰木監督はリーグ連覇を記念して、宮古島の洞窟貯蔵庫に泡盛の14升壷を3壷貯蔵。以来、OBや現役選手もキャンプ中に訪れ、仰木監督が納めた古酒を味わってきた。ここは島の観光名所になっていて、今も仰木監督ゆかりの泡盛を見に来る野球ファンが多いそうだ。

 その古酒が「25年もの」に熟成した昨年、オリックスはリーグ優勝を果たした。2015年のキャンプを最後にチームが宮古島を離れても、仰木監督と宮古島の人たちの絆は永遠に続いている。

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