FA移籍の又吉克樹、人的補償の岩嵜翔は「win-win」の関係になれるか? 成功だった過去3例 (2ページ目)

  • 水道博●文 text by Suido Hiroshi
  • photo by Kyodo News

【人的補償からタイトル獲得】

 過去、FAの人的補償は31人いるが、ともに活躍した例は決して多くない。そんななか、2007年オフに成立した3例はまさに"win-win"だったと言える。

 ヤクルトから西武にFA移籍した石井一久の人的補償は福地寿樹だった。福地は2006年の開幕直前に広島から西武にトレード。同年、俊足をの生かし、レギュラー格として91試合に出場。翌年も117試合に出場したが、すでに32歳という年齢と生え抜きの若手が成長してきたことでプロテクトから漏れた。

 ヤクルトから白羽の矢が立った福地だったが、幸いしたのは2008年から高田繁監督が指揮を執ったことだ。高田監督は現役時代、俊足・好打のプレーヤーとしてON(王貞治、長嶋茂雄)の脇を固め、前人未到のV9に貢献。引退後は、日本ハムでGMとしてチームの戦力編成を担った。福地のほかにも、日本ハムから川島慶三(現・楽天)、押本健彦をトレードで獲得し、彼らを積極的に起用した。

 福地は1番打者として131試合に出場し、打率.320と活躍。また、42盗塁で自身初のタイトルを獲得した(翌年も盗塁王を獲得)。

 石井も西武移籍後の6年間で2ケタ勝利2度を含む計45勝をマーク。日米通算182勝まで積み上げた。

 西武から中日にFA移籍した和田一浩の人的補償は岡本真也。中日時代の岡本は、2004年からリリーフとなり、フォークを武器に63試合で9勝を挙げ最優秀中継ぎのタイトルを獲得。岩瀬仁紀とともに"勝利の方程式"を担った。

 その後も2005年は57試合で10勝、17ホールド、2006年は56試合で4勝、18ホールド、2007年は62試合で5勝、33ホールドをマーク。2004年、2006年のリーグ優勝と2007年の日本一に貢献した。

 西武に移籍した2008年、岡本は47試合に登板して18ホールドを挙げ、日本一に貢献。結果的にリーグをまたいで2年連続日本一の美酒に酔った。

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