正念場を迎えるドラフト1位入団の甲子園のスターたち。今季、輝きはよみがえるか (3ページ目)

  • 菊地高広●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

 藤平は入団1年目には3勝4敗、防御率2.28と活躍し、末恐ろしいポテンシャルを感じさせた本格派右腕だった。だが、2年目に4勝を挙げて以降は投球感覚を崩し、深刻な状態に陥った。昨季は一軍登板なしに終わり、今季は自身の存在をかけた勝負の年になる。それでも、指にかかったストレートは相変わらず球威抜群だけに、好調時のボールをコンスタントに再現できるかが成功のカギになりそうだ。

 また、現在は楽天の育成選手登録ながら、2012年1位の森雄大(東福岡)も忘れてはいけない。2020年にトミー・ジョン手術を受けて長いリハビリに励んでいたが、昨季はイースタン・リーグで10試合に登板し、防御率1.38。順調な回復ぶりでプロ10年目の契約を勝ち取った。ドラフト時には2球団の重複1位指名を受けた好素材が、石にかじりついても生き残ったプロの世界で意地を見せるか。

昨年、一昨年と一軍出場機会がなかったロッテ・平沢大河昨年、一昨年と一軍出場機会がなかったロッテ・平沢大河この記事に関連する写真を見る ロッテには2015年1位の平沢大河(仙台育英)が、いよいよ崖っぷちに立たされている。強打の遊撃手として2球団から1位指名を受けた好素材も、2020年から2年続けて一軍出場なしに終わっている。チーム内には有望な若手野手も育ってきているだけに、昨季ファームで8本塁打を放った打撃で存在感を示したい。

 昨季日本一に輝いたヤクルトには、2016年1位の寺島成輝(履正社)がいる。ドラフト時には高校生左腕ながら即戦力に近い評価でヤクルトに入団。一時は自分の投球フォームを見失い、どん底を味わったが、2020年には中継ぎで30試合に登板した。ところが、先発として期待された昨季は、春先から結果を残せず。一軍登板わずか1試合に終わっている。スカウト陣をうならせた高い総合力を一軍マウンドで見せてもらいたい。

【覚醒の予感漂う中村奨成】

 広島には2017年1位の中村奨成(広陵)に覚醒の気配が漂う。2017年夏の甲子園で新記録となる1大会6本塁打を放った強肩強打の捕手。プロ入り後はもどかしいシーズンが続いていたが、昨季は39試合で打率.283、2本塁打と持ち前の打撃力を一軍の舞台でも発揮し始めている。

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