正念場を迎えるドラフト1位入団の甲子園のスターたち。今季、輝きはよみがえるか

  • 菊地高広●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

 昨季最下位に沈んだ日本ハムには、2017年1位の清宮幸太郎(早稲田実)、2018年1位の吉田輝星(金足農)という高卒のスター候補がいる。

 清宮はジュニア期から大物と騒がれ、高校通算111本塁打の勲章を引っ提げてプロ入り。ドラフト時には高校生歴代最多タイとなる7球団が重複1位指名している。プロ入り後は3年連続で7本塁打を放った後、昨季は完全にファームで漬け込まれた。注目度が高いがゆえ一挙手一投足が報じられ、結果が出なければネガティブな声も浴びやすい。同期入団の村上宗隆(ヤクルト)が今や球界を代表するスラッガーに成長し、くっきりと明暗が分かれてしまっている。

 また、高校時代から懸念されてきた故障禍も、プロ入り後の成長を阻害してきた。今季から監督に就任した「ビッグボス」こと新庄剛志監督からは減量の提案を受け、オフには10キロ近い減量に成功。ただ、1月17日に新型コロナウイルスに感染する不運もあり、春季キャンプは二軍スタートとなる。新監督のもと心機一転、キレのあるスイングを見せてくれるのか。清宮の働きぶりは、日本ハムの浮沈をも左右するだろう。

 吉田は2018年夏の甲子園で決勝進出に導き、「金農旋風」の立役者になった。だが、プロ入り後は3年間でわずか1勝と、一軍の高い壁に阻まれている。昨季はストレートに磨きをかけるため、ファーム登板時に「試合序盤はストレートのみ」と縛りを設けて投球した。8月には3戦3勝、防御率2.84と一定の成果を見せ、ファーム月間MVPを受賞した。カットボールやフォークの精度も上がっており、機が熟した感はある。今季は先発ローテーション入りしてもらわなければ困る存在だ。

【レギュラー奪取に燃えるオコエ】

 楽天は2015年1位のオコエ瑠偉(関東一)、2016年1位の藤平尚真(横浜)という大器が控える。

 オコエは2015年夏の甲子園で走攻守にわたってダイナミックなパフォーマンスを披露し、全国的な知名度を獲得。プロ入り後は心ない雑音に苦しんだ時期もあったが、ようやく吹っ切れた感がある。昨季は左手首手術から復帰した後半戦から一軍戦力になり、42試合に出場。まずまずの存在感を見せただけに、今季は辰己涼介、西川遥輝らとのレギュラー争いに割って入れるか。球場中の視線を独り占めするような、エネルギッシュなプレーができる逸材だと証明してほしい。

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