高橋慶彦と正田耕三が期待するカープの若手。「打つだけ、守るだけの野球しかできていない」と課題も指摘【2021人気記事】

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 布川航太●撮影 photo by Nunokawa Kota

コロナ禍においてでも、東京五輪・パラリンピックなどで盛り上がった2021年のスポーツ界。そのなかでも、スポルティーバはさまざまな記事を掲載。今年、反響の大きかった人気記事を再公開します(2021年8月10日配信)。
※記事は配信日時当時の内容になります。

広島カープOB

高橋慶彦×正田耕三対談(後編)

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 球界をざわつかせた「飛び蹴り事件」(1988年)から30年あまりが経ち、高橋慶彦と正田耕三による「禁断のカープOB対談」が実現。黄金期を支えた二人の目に、苦戦が続く今のカープはどのように映るのか。後編では、レジェンドの口からカープを愛するがゆえの期待と苦言が飛び出した。

元広島カープの正田耕三(左)と高橋慶彦(右)。後編では現在のカープについて語った元広島カープの正田耕三(左)と高橋慶彦(右)。後編では現在のカープについて語った

―― 今季のカープは前半戦リーグ5位と苦戦が続きます。今のカープをお二人はどのように見ていますか?

高橋 選手はええよな? 小園(海斗)、林(晃汰)、坂倉(将吾)、中村(奨成)......。5月に一軍でコロナの集団感染があった時に、若い選手が出てきた。長い目で見れば、選手層が厚くなってよかった。チーム打率なんてリーグ2位(1位のDeNAとわずか2毛差)なんやから。

正田 それでこの順位なのは、「打つだけ」「守るだけ」の野球しかできていないからだと思います。

高橋 そういうことやな。俺たちは競った試合で強かったけど。

正田 1対0とか2対1で勝っていました。カープで教えられたのは、「ノーヒットでどうやって1点を取るか」という野球。フォアボールやエラーで塁に出て、盗塁、進塁打、犠牲フライで1点を取るとか。

高橋 おまえは汚いんよ(笑)。俺が盗塁で二塁に行ったら、ショウ(正田)は絶対にセーフティーバントをしていた。ショウはセーフティーがうまいから、ヒットになる確率が高い。アウトになっても、記録は「犠打」やん。打率が下がらん。

正田 そうですよ? 気楽でいいんですよ(笑)。

高橋 今のカープには、そういう選手がいないよな。1点を取るのに、相手のスキをこじ開けられるような選手が。

正田 今はピッチャーのクイックモーションが速くなっていますけど、スライディングやスタートは練習しておかないと走れなくなりますよ。

高橋 この前カープの試合を見ていたら、こんなシーンがあった。3点ビハインドの9回裏ツーアウト、ランナー一、二塁。ヒットが出て、二塁ランナーをホームに還して余裕でアウト。

正田 それは(ランナーコーチが)止めなあかんですね。

高橋 しかも、次のバッターは4番の林なのよ。

正田 1000パーセントセーフでも、行っちゃダメですね。ホームランならサヨナラですから。

高橋 他にも代走が牽制アウトになったシーンも見た。走塁ミスがボロボロある。

正田 走塁は状況判断ですから、鍛えられていないと難しいですよね。点差やアウトカウントはもちろん、相手の守備位置とか肩の強さを頭に入れて走らないといけない。

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