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高校野球未経験の和田康士朗はなぜ独立リーグ入団から1年でロッテ入りを果たせたのか【2021年人気記事】

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by ©️ Toyama GRN Thunderbirds

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 2021年に、スポルティーバで反響の大きかった人気記事を再公開します(2021年7月22日配信)。※記事は配信日時当時の内容になります。

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連載『なんで私がプロ野球選手に⁉』
第5回 和田康士朗・後編

前編はこちら>>

 異色の経歴を辿った野球人にスポットを当てるシリーズ『なんで、私がプロ野球選手に!?』。第5回後編は、高校野球未経験ながら球界屈指のスピードスターへと駆け上がった和田康士朗(ロッテ)の、プロ入り秘話を紹介する。

富山GRNサンダーバーズ時代の和田康士朗富山GRNサンダーバーズ時代の和田康士朗この記事に関連する写真を見る 前に飛ぶ力強い打球はあまりない。それなのに、富山GRNサンダーバーズの監督を務める吉岡雄二は、ひとりの左打者のスイングに釘づけになっていた。

「自分のタイミングで、自分のスイングができている。まだ体ができていないから飛ばせないだけで、タイミングが取れているのが一番の魅力だな」

 吉岡はNPB19年間の現役生活で通算131本塁打を放ったスラッガーだ。その吉岡が認めたのは、BCリーグのトライアウト受験者である和田康士朗だった。

 吉岡はすぐさま、和田のデータを探した。50メートル走を5秒台で駆け抜けた快足も目を引いたものの、何よりも魅力だったのは「17歳」という年齢だった。

 他球団の関係者は、和田をあまり評価していない様子だった。だが、吉岡はこの時点で「康士朗しかいない」と確信していた。

「体ができる20歳になった頃に、NPBに行ける可能性を秘めている原石だ」

 その後、BCリーグのドラフト会議で富山は和田を1巡目指名する。吉岡は会議中、他球団の指名のたびに「康士朗の名前を呼ばないでくれ」と念じ続けたという。

 吉岡が高く評価した、和田のタイミングの取り方。だが、本人は「何も考えずに足を上げて打っていました」と頭をかく。もはや天性と言ってよかった。その一方で、和田は打撃に関してこんな感想も口にしている。

「今まで一度も金属バットで硬式ボールを打ったことがないので、ほかの選手のように『金属より木製バットのほうが飛ばない』と感じたことがないんです」

 金属バットの高校野球を経験しなかったことが、結果的に和田の木製バットへの順応を早めたのかもしれない。

 和田は高校時代にクラブチームに所属したとはいえ、平日は「帰宅部」状態。フルシーズンを戦うための体力に不安があった。そこで吉岡は「夏までは体をつくり、ケガをさせないようにしよう」と育成計画を立てた。

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