高津臣吾監督「いろいろな方針や目的がある」。ヤクルトが日本一で証明したチームビジョンと青木宣親が語っていた理想の野球

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

 ヤクルトとオリックスの日本シリーズは、6試合中5試合が1点差という球史に残る激闘となった。戦前の予想を覆したヤクルト投手陣の健闘が光ったが、山本由伸をはじめとしたオリックスの強力投手陣から少ないチャンスを着実にモノにした打撃陣の集中力も見事だった。

ヤクルト打線を牽引した村上宗隆(写真左)と青木宣親ヤクルト打線を牽引した村上宗隆(写真左)と青木宣親この記事に関連する写真を見る■村上宗隆、塩見泰隆、宮本丈...躍動した2017年ドラフト組

 11月20日、ヤクルトとオリックスの日本シリーズ第1戦。この日、ヤクルトのスタメンには2017年のドラフトで指名を受けた3人の選手の名が並んだ。

1番 センター・塩見泰隆(ドラフト4位/JX−ENEOS)
4番 サード・村上宗隆(ドラフト1位/九州学院高)
8番 ライト・宮本丈(ドラフト6位/奈良学園大)

 ほかにも2017年ドラフト組では、金久保優斗(ドラフト5位/東海大市原望洋高)がベンチ入りを果たし、大下佑馬(ドラフト2位/三菱重工広島)は登録選手として日本シリーズに参加した。

 塩見はシリーズが始まる前、「僕のなかでドラフトの同期は特別というか、思い入れがすごく強いです」と語った。

「日本シリーズのメンバーに同期が結構入っているので、そこはうれしいです。僕が出塁して、ムネ(村上宗隆)がホームランを打って、苦しい場面で勝負強いタケシ(宮本丈)が打ってくれたらいいな、という思いはずっとあります」

 そう語る塩見だが、彼らの日本シリーズへの道のりは決して順風満帆ではなかった。

 塩見は、二軍やオープン戦の成績と一軍での結果の落差が激しく"二軍の帝王"と呼ばれた時代もあった。その理由は、ケガに泣かされたこと、そしてプロ野球選手であることのプレッシャーに押しつぶされていたことだった。

 昨年3月「今年はポジティブなプレーが多くなっています」と、塩見はメンタル面での手応えを感じていた。

「これまではプロだから打たないといけない、守らないといけない、走らないといけないという意識が強すぎて、思いきったプレーができませんでした。でも、思ったんです。子どもの頃にあれだけ楽しかった野球を、高いレベルの世界でプレーできる。それは幸せなことで、プロだからこそ楽しむことが大切なんじゃないかと。人生は一度きりなので、野球を楽しもうという気持ちでプレーします(笑)」

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