FA戦線カウントダウン。年俸の割に活躍しそうな「コスパのいい選手」は誰? (4ページ目)
このなかで今オフ最大の争奪戦が勃発する可能性があるのが、中日・又吉克樹だ。立浪和義新監督就任後の一部報道では、又吉のFAランクは「Bランク」と報じられているが、ここでは昨年オフの契約更改でスポーツ紙が伝えた全選手の推定年俸を基にした「Cランク」として話を進めていく。
又吉はルーキーイヤーの2014年に67試合9勝1敗2セーブ24ホールドをあげ、3年目まで連続して60試合以上に登板した。しかし、150キロ超の球威と大きな曲がりのスライダー、そして荒れ球で抑えていたのに対戦相手が慣れると成績は下降。突然制球を乱したり、ここ一番で痛打を浴びたりすることが増加し、2019年、2020年には2年連続して登板数は26試合にとどまった。
それが今季は、カットボールとシンカーをマスターしたことで制球力が格段に向上し、チーム最多の66試合に登板して3勝2敗8セーブ33ホールド、防御率1.28をマーク。主にセットアッパーを務め、守護神ライデル・マルティネスが東京五輪予選で不在時はクローザーを任されるまでに復活を遂げた。
2018年に推定8800万円あった年俸も、今季は推定4200万円。仮に3倍増の提示をしても1億2600万。入団8年間で400登板したタフネスぶりと、SNSに普段着のチームメイトの表情を投稿する「又吉広報」としてのファンサービスを考慮すれば、これほどコスパに優れるリリーバーは今後もそうそうFA市場には現れないのではないだろうか。これは又吉のFAランクが人的補償が必要となる「Bランク」だったとしても、獲得するメリットの大きさに変わりはない。
中日のリリーフ陣ではもうひとり、元クローザーの田島慎二もFA宣言すれば触手を伸ばす球団が複数現れるだろう。2017年までクローザーとして活躍したが、その後は長らく不調に喘ぎ、最高時は1億1000万円(2018年)あった推定年俸も下がりに下がって、今季は推定1500万円。
しかし、昨春にトミー・ジョン手術を受けて今季7月に復活を遂げると、22試合2勝1敗8ホールド、防御率2.45をマークした。西武の平良海馬が今季『開幕からの連続無失点記録39試合のプロ野球記録』を樹立したが、それまでの記録保持者だったのが田島(31試合/2016年)。今季後半戦は2016年シーズンのようなスライダーとツーシームの横の揺さぶりで抑えるピッチングを取り戻している。来季はさらに復調すると見込んで、先行投資する価値はあるだろう。
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