「ネクスト・ラオウ」は誰だ? プロ球界に眠る未完の大砲候補たち (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • photo by Koike Yoshihiro

 大砲を育てたい球団といえば、中日も同様だ。今季のチーム本塁打69本はぶっちぎりのリーグワーストで、5位・阪神の121本と52本差。今年のドラフト会議ではブライト健太(上武大)ら右の強打者を4人も指名しており、若手にも2年目の石川昂弥がいる。

 そんななか、そろそろ目覚めに期待したいのが高卒5年目の石垣雅海だ。力強いフォロースルーでレフト方向に強い打球を打てる右の強打者。昨オフには浅村栄斗(楽天)と自主トレをともにし、広角に打球を飛ばす技術を学んでいる。

 今季は相次ぐケガに悩まされ、ファームで打率.226、9本塁打と低調。それでも尻上がりに調子を上げ、シーズン終盤には一軍に昇格。広いバンテリンドームのレフトフェンスを直撃する、らしい打撃も見られた。

 ブライトら同年代である大学生右打者が3人も加わる来季は、自身の生き残りをかけたシーズンになる。新たに打撃コーチに就任した中村紀洋との出会いがポジティブに作用することを期待したい。

 チーム全体に「強く振る」文化が根づいている西武は、強打者が生まれやすい土壌と言えるだろう。今季はドラフト1位の巨漢ルーキー・渡部健人がファームで19本塁打を放ち、清宮と並んでイースタン・リーグ本塁打王に輝いている。

 そんな西武にあって大ブレークの期待をかけたくなるのは川越誠司だ。投手から野手に転向して3年目の今季は63試合の出場で5本塁打。ここまで紹介した選手は停滞傾向が強かったが、川越は右肩上がりで成長中だ。

 ここまで振るかと驚かされるエネルギッシュなフルスイングに、インパクトの破壊力が目を引く。とはいえチーム内の競争は激しく、川越自身も来季は29歳と若くはないだけにチャンスを生かしたいところだ。

 最後に遅咲きの大砲として名前を挙げたいのが黒瀬健太(ソフトバンク)だ。初芝橋本高時代には高校通算97本塁打を放った右のスラッガーも、プロ入り後は高い壁に当たった。わずか3年で戦力外通告を受け、以降は育成選手としてプレー。ソフトバンクが三軍制を敷いていなければ、とっくに放出されていたはずだ。

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