「ネクスト・ラオウ」は誰だ? プロ球界に眠る未完の大砲候補たち
プロ5年間で通算9本塁打だった30歳の選手が本塁打王を獲得するなど、誰が予想できただろうか。今やオリックスの不動の4番打者に君臨する杉本裕太郎。今季レギュラーシーズンで残した成績は次のとおりだ。
134試合/打率.301(3位)/32本塁打(1位)/83打点(3位)/OPS.931(2位)
※カッコ内はパ・リーグ順位
ドラフト10位での入団ながら、地道に力をつけてチャンスをつかんだ。ファームからピックアップしてくれた中嶋聡監督という理解者にも恵まれたが、眠っていた杉本の潜在能力が今季に入って爆発した格好だ。
今のプロ野球界を見渡すと、杉本のように「きっかけひとつで花開くかもしれない」という才能の持ち主は何人もいる。そこで、現時点ではくすぶりながら、豊かな才能を秘める「ネクスト・ラオウ」を探してみよう。
プロ4年目の今季、一軍出場なしに終わった日本ハム・清宮幸太郎この記事に関連する写真を見る まずは、清宮幸太郎(日本ハム)である。こんな形で紹介したくなかった、というのが本音だ。
入団3年間で7本ずつ本塁打を放ち、危機感を持って臨んだ4年目は一度も一軍昇格することなく、ファーム暮らしが続いた。今季はファームでイースタン・リーグ1位の19本塁打を放ったものの、打率.199と確実性に乏しかった。
生来の器用さが仇になってか、中途半端に当てにいっての凡打が目立つ。ジュニア期から心配された故障禍はプロでも続き、1〜2年目に鍛え込めなかったマイナス要素もあった。
この4年間で清宮が立った一軍での721打席、二軍での663打席は、球団やファンにとって近未来への投資だった。新庄剛志監督が就任し、2023年には新球場(エスコンフィールド北海道)がオープンする。いよいよ清宮が爆発するためのお膳立ては整ったように思える。あとは結果を残すしかない。
清宮と同様にもどかしいシーズンが続くのは、高卒5年目の細川成也(DeNA)だ。高校通算63本塁打の看板を引っさげプロ入りし、1年目には高卒新人として史上初のデビュー戦から2試合連続本塁打という鮮烈なデビューも飾った。
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