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ソフトバンクが「今宮健太の後継者」を指名しなかったワケ。答えは2023年のドラフトにあり⁉

  • 安倍昌彦●文 text by Abe masahiko
  • photo by Ohtomo Yoshiyuki

 今年のドラフトで"遊撃手"がほしいのは、ソフトバンク以外にも日本ハム、楽天がそうだったはずだ。

 日本ハムは遊撃手というよりも"二遊間"がなかなか固定できない状況にあり、さらにレギュラー候補だった石井一成が「左第五中足骨骨折」という大きなケガを負って、内野陣全体がピンチにあった。

 楽天は、昨年は小深田大翔、今年は山崎剛が遊撃手として頑張ってきたが、アマチュア時代は二塁手か三塁手が本職の選手だ。ちなみに、その前の正遊撃手だった茂木栄五郎も大学時代は三塁手で、つまりはアマチュアからの遊撃手となるとルーキーの入江大樹ぐらいしかいない。

 遊撃手経験者に聞くと、体力的にも精神的にもきつく、簡単にこなせるポジションではない。それだけに、どのチームも「生粋の遊撃手」がほしいはずだ。

 ソフトバンクのショートには今宮健太という絶対的な存在がいるが、後継者探しは急務である。

 今宮は明豊高校(大分)から2009年のドラフトでソフトバンクから1位指名を受け入団。3年目からレギュラーとして出場すると、そこから今シーズンまで不動の遊撃手としてソフトバンクの黄金期を支えてきた。だが、体は満身創痍。チームとして、後継者の目鼻をつけておく時期にさしかかっているのは間違いない。

 今年6月、社会人野球の日本選手権でドラフト候補としてスカウトたちから注目されていたJR四国の遊撃手・水野達稀が、三菱重工WEST戦で八木彬からサヨナラホームランを放った直後のことだ。

「うわー、すごいホームラン。これで今宮健太の後釜も決まりとちゃうか」

 ほっともっとフィールド神戸のライトスタンド中段に突き刺さる会心の一発に、そう声を上げたスカウトがいた。ちなみに、八木は今回のドラフトでロッテから5位指名を受けた剛腕である。

 だがドラフトでソフトバンクは、1位で風間球打(投手/ノースアジア大明桜高)、2位で正木智也(外野手/慶応大)、そして3位は水野でいくだろうと思っていたら......北海高校の左腕・木村大成を指名したから驚いた。

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