盟友・大石達也が語る斎藤佑樹の素顔。「どんなに叩かれてもマウンドに上がることをあきらめなかった」 (3ページ目)

  • 中島大輔●文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Sankei Visual

 9年間のプロ生活では度重なる故障もあり、期待されたほどの成績を残せたわけではない。それでも球団にとって必要な人材とされ、引退後は西武で指導者の道を歩んでいる。

 ファームで明日のエースや守護神を目指す若手たちと接しながら、大石はあらためて斎藤のすごさについて思い出すことがある。

「過去を振り返った時、斎藤みたいにピッチングの感覚を言葉にできれば、今、もっと楽だったと思います。コーチとして指導していて、ピッチングフォームの動きのなかで説明しないといけないのですが、うまく言葉にするのが一番難しいと感じている部分ですね。選手によって理解度も変わってきますし、いろんなパターンの投げ方もあります。そこを言葉で言うのか、手本を見せるのか。どのようにすればその選手に伝わるのか、その方法を猛勉強中です」

 早稲田の同期として4年間をすごし、プロではともに"金の卵"と大きな注目を集めたが、大石は斎藤をライバルと捉えたことは一度もない。斎藤が活躍すればうれしいし、自分も頑張らなければいけないと刺激を受ける。そうした仲間との関係性は、今後も変わらないと思っている。 

 では、最も間近で見てきた大石にとって、斎藤佑樹が野球界に残した功績をどう感じているだろうか。

「なんて言ったらいいんだろう......。すごいとしか言いようがないですね。高校、大学で優勝して、プロに入っても最初はそれなりに投げていましたけど、それからは思うような結果を残せてないなかでも、ずっと新聞などで取り上げられていました。それだけの注目度のなかでやり続けるというのは、想像できないくらい大変だったと思います。そういう部分でのメンタルの強さはすごいですし、どんなに叩かれても、厳しい言葉をかけられても最後まであきらめなかった。もう一度、一軍のマウンドを目指したのは斎藤だからできたと思います」

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