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侍ジャパン初陣ドミニカ戦、先発・山本由伸は「特別な思い」でマウンドに登る (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

「向こうの人は純粋というか、すごく心がきれいというか、素直というか、自然というか。『野球がうまくなりたい』という気持ちがすごく強かったですね。自分は日本の環境で育ってきて、いつしか忘れていたものがありました。自分が忘れていたものや気づいていなかったことも含めて、ドミニカが思い出させてくれたというか、『これやな!』とピンときました」

 野球を始めた原点をドミニカで思い出したことが、2019年の最優秀防御率につながったと山本は言う。

「たとえば、野球で練習するにしても吸収する力が変わったり、ひとつのことをやってもふたつのことを得られたり。オフシーズンにしっかり、ひとつのメンタルトレーニングをやったように感じました。ドミニカに行ったからこそ感じられたものがあったと思うので、本当に行ってよかったです」

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 山本がドミニカを訪れた際、コーディネーターを務めたのが阪長氏だった。カリブの島国から次々とスケールの大きな選手が生まれ、野球大国たらしめる土壌について同氏はこう説明する。

「一番はパッションですね。ドミニカ人は大舞台でも『勝たなければいけない』とガチガチになるのではなく、勝利するために自分たちの持っているものを出し切ろうとする。『勝たなければいけない』では硬くなってベストなパフォーマンスにつながらないと思いますが、ドミニカ人はとにかく失敗を恐れず、アグレッシブにプレーしてくるのが特徴です」

 今回の東京五輪には、オリンピックの常連だったキューバが予選で姿を消して出場しない。代わって、野球どころのカリブ海地域からエントリーしたのがドミニカだ。心身ともにスケールの大きな彼らは、1992年バルセロナ大会以来2度目となるオリンピックの舞台で、どんなプレーを見せてくれるのか。

 金メダルを宿命づけられる侍ジャパンと、初の表彰台を目指してエネルギッシュに戦うドミニカ共和国。ラテンの強力打線に対し、特別な思いを持ってマウンドに登るのが山本だ。7月28日、対照的なスタイルを誇る両雄の激突に注目が集まる。

山本由伸らオリックス若手投手陣を支える平井正史コーチ

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