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桑田真澄が名を挙げた「巨人の星」は誰か。「一流ピッチャーの条件」も語った (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Koike Yoshihiro

── 選手とはどんなことを意識しながら接していますか。

「僕が先に何かを言うのではなく、どうしたらいいかと聞かれたら『こういうやり方もあるよ』と選択肢を提示できればいいですね。言葉のキャッチボールを大切に指導したいと考えています。コーチの語源って、ハンガリーのコチという村でつくられた馬車に由来しているんです。乗った人を望む目的地まで大切に送り届ける役割を担う馬車から派生してコーチという言葉が生まれました。だから僕も選手と一緒に考え、苦しみ、悩み、喜びながらともに目的地を目指す伴走者でありたいと考えています」

巨人・戸郷翔征は桑田コーチの指導をどう思っているか>>

── 桑田コーチが選手に最も伝えたいことは何でしょう。

「ピッチャーの何が難しいかって、それは約25センチの高さのマウンドから投げなければならないというところなんです。肩が強ければピッチャーができるわけじゃない。マウンドの傾斜を制することが一流のピッチャーの条件になります。ですから傾斜のあるマウンドからある程度の球数を投げて、傾斜の使い方を自分で身体に染み込ませなければなりません。シーズンに入ったら、あのマウンド上で苦しむ時が必ず来ます。その時、僕たちコーチはどうすることもできない。だからこそ、今のうちに彼らがマウンドで困らないよう、微調整したりアイディアを出したりしているわけです」

── 桑田さんがよく話す「投げ終えたマウンドに答えがある」という言葉にはどんな意味が含まれているんですか。

「力を出すべき方向へちゃんとステップできているのか。今日はピッチングの調子がよかったけど、どれくらいの歩幅になっていたのか。逆に今日は調子悪かったのはクロスステップになっていたからじゃないか。あるいは体重がしっかり踏み込んだ足に乗り切っていたのか、そういうことの答えが、マウンドの足跡にすべて残されているんです。だからそれらを投げ終えたあと、しっかり確認していこうということです」

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