「自分のプロ野球人生がダメになる」。安田尚憲は柳田悠岐に頭を下げた
3月26日、いよいよプロ野球が開幕する。8年ぶりに日本球界復帰を果たした田中将大を筆頭に、捲土重来を期すベテラン、躍動するルーキーなど、見どころが満載。スポルティーバでは2021年シーズンがより楽しくなる記事を随時配信。野球の面白さをあますところなくお伝えする。
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「今年やらないと、自分のプロ野球人生もダメになる。それくらいの覚悟を持ってやっていきます」
まだ発展途上の高卒4年目、21歳で開幕を迎える安田尚憲(ロッテ)が強い決意を示した裏には、プロ野球の厳しさを肌で知ったことがある。
高校時代から「東の清宮(幸太郎/日本ハム)、西の安田」と注目された世代で、いち早く抜け出したのは村上宗隆(ヤクルト)だった。同じ左の大型スラッガーは侍ジャパンにも選ばれ、はるか先に行っている。
2017年ドラフト1位で履正社高からロッテに入団した安田尚憲 加えて、後輩の突き上げもある。2021年のオープン戦では苦しむ安田を尻目に、1歳下の山口航輝がロッテの4番に抜擢され、鋭い打球を放った。
「危機感は常にあります。いい選手はどんどん入ってきますし。相手との戦いでもあるので、自分が常に成長していかないと、この世界で生き残れないと感じています」
ここまでの3年間、順調にステップを踏んできたように見える。
高卒1年目は17試合に出場、翌年は二軍のイースタンリーグで本塁打と打点王に輝いた。3年目の昨季は113試合に出場し、87試合で4番を張った。打率.221、6本塁打とまるで歯が立たなかったが、今後に向けて大きな一歩になったことは間違いない。
「一軍で何打席も立たせてもらい、自分とトップの実力差をものすごく感じました。そこをどうやって埋めていくか。一軍のピッチャーの球を打ち返せないことには、自分の野球人生の限界が見えてくると思います」
真のレギュラー奪取へのスタートラインに立ち、わかったことがある。安田の課題を明確に示すのが、以下の数字だ。ストレートに対して打率.214と、パ・リーグの剛腕投手たちに力負けした。
さらに、1打席あたりで相手投手に費やさせた投球数は4.254。規定打席に到達した打者では日本ハムの近藤健介、西川遥輝に次いで3番目に多かったが、安田自身は決して前向きなデータと捉えていない。
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