「自分のプロ野球人生がダメになる」。安田尚憲は柳田悠岐に頭を下げた (3ページ目)

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • photo by Jiji Photo

 今季掲げる目標は「打率3割&20本塁打」。柳田からどちらかを達成するように言われ、あえてふたつとも狙うことに決めた。

「今の自分の実力のままでは、その壁をなかなか越せないことはわかっています。でも、高い目標を持って取り組んでいかなければ、そんなに簡単に成績も残せないと思います。

 ホームランを打て、そのなかでも勝負どころで打てるバッターが自分の中で理想です。そういった意味でも、打率はしっかり残せるようにならないといけない。自分に求められるスタイルとして、その目標にしました」

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 目指すは、日本の伝統的な「4番打者」像だ。

 昨季はレアードの戦線離脱もあって87試合で抜擢されたが、井口資仁監督には「お前は4番目のバッターだぞ」と言われた。自身の実力で掴み取った場所とはまったく思っておらず、正真正銘の主砲になるべく打撃の土台を固めている。

「自分が子どもの頃から、4番はチームの主軸が任される打順というイメージです。今年はその打順を、自分の実力で掴み取れるようにしたい。この席に戻って来られるように、がんばりたいと思っています」

 バッターとして恵まれた体格を誇り、高い理想を目指して前向きに取り組む21歳。心身両面に大きなポテンシャルを誇るから、周囲は期待をかけたくなるのだろう。

「去年一軍でさせてもらった経験を、活かすかどうかも自分次第だと思います。逆に活かせないと、去年は何をやっていたんだ、となる。今年にかける想いは、去年以上にあります」

 高卒4年目の左打者は強い覚悟と責任感を胸に、勝負のシーズンに臨む。

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