2021.02.25

野村克也の息子・カツノリの第一印象。八重樫幸雄「致命的な欠点が…」

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

「オープン球話」連載第54回 第53回を読む>>

【カツノリには「親父に恥をかかせるな」と言っていた】

――前回は長嶋一茂さんについて伺いました。その最後で「次回はカツノリについて話そうか?」とのことでしたので、現在、東北楽天ゴールデンイーグルスの二軍育成捕手コーチを務めている野村克則さんについて聞かせてください。

八重樫 一茂には「長嶋さんの息子」という周囲の期待があったように、カツノリにも「野村監督の息子」というプレッシャーは常にあったと思います。カツノリが入団した1996(平成8)年はまだ野村さんが監督で、僕は一軍のバッテリーコーチでした。その次の年から二軍監督になったので、カツノリとはずいぶん一緒に練習しましたよ。

野村克也監督(右)時代のヤクルトに入団した野村克則(左)――八重樫さんにとっての上司である「野村監督の息子」の入団は、コーチとしてはやりづらかったんじゃないですか?

八重樫 そういうのは、僕は全然関係ないから(笑)。いくら「監督の息子」であろうと、一生懸命、練習するかどうか。それを大切にしていましたからね。当時、彼によく言ったのは「親父に恥をかかせるなよ」ということでした。

――カツノリさんは、明治大学からドラフト3位で入団しました。東京六大学では首位打者、打点王も獲得。ファーストとしてベストナインも選ばれていました。入団時の印象、そして実力はいかがでしたか?

八重樫 この連載でも言ったように、一茂が入団してきた時には「すごいポテンシャルだな」と驚いたけど、カツノリにはそういう印象は全然なかったですね。正直に言えば、「プロに入れるレベルじゃないな」と思いました。ただ、気持ちは強かった。「プロの世界でやってやろう」という意気込みは強かったし、「どうすればうまくなるんだろう」という向上心もすごくあったよ。

――入団当初は「プロのレベルではないな」と思っても、「うまくなりたい」という思いがあれば、うまくなれるものなのですか?

八重樫 うーん、難しい質問ですね。それは人によるのかな? ただ、カツノリの場合は致命的に体が固かったんですよ。彼は、1年目は一軍で出場していないですよね。最初はストレッチの指導から始めましたから。