ヤクルトの4649安打の教材。内川聖一&青木宣親が若手に与える影響

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Koike Yoshihiro

 ヤクルトの春季キャンプ(沖縄・浦添市)の練習が始まるのは午前9時。選手たちはそこに向けて、それぞれが忙しく準備している。8時過ぎに室内練習場の前に立っていれば、まずはバント練習を終えた山崎晃大朗が姿を見せ、次にストレッチ用のマットを抱えた内川聖一を見ることができる。

 内川は昨年オフにソフトバンクを退団し、今季からヤクルトの一員となった。背番号7の新しいユニフォームを身にまとい、21年目の現役生活をスタートさせた。

今シーズンからヤクルトでプレーする内川聖一今シーズンからヤクルトでプレーする内川聖一「よくウチに来てくれた。内川が入ったことでたくさんのプラスが考えられますからね」

 杉村繁打撃コーチはそう言って目を細めた。ふたりは横浜(現・横浜DeNA)時代に同じユニフォームを着たことがあり、じつに11年ぶりの再会となった。

「久しぶりに接しましたが、いい意味でまったく変わってなかったです。野球に取り組む姿勢など、非の打ちどころがない。去年、一軍出場はありませんでしたが、内川ほどの選手になればブランクは関係ない。スイングは相変わらずコンパクトで無駄な動きがなく、逆方向に打たせれば日本一だし、練習を見ていると8割は芯でとらえている」

 そして杉村コーチは「若い選手に与える影響にも期待しています」と話し、こう続けた。

「内川には右打者としての構えや軌道、ミートポイント、バッティングに対しての考え方......これから実戦に入っていけば、試合への取り組み方など、参考になることは多い。なによりソフトバンクで日本一を何度も経験している。その経験を伝えてくれたらありがたいですよね。

 ウチには左打者に青木(宣親)というすばらしい見本がいます。これで左右の歴代有数のヒットメーカーが揃った。若い選手たちにとってはこんないい環境はない。コーチからよりも、選手からのアドバイスのほうが感じ方も違ってきます。ふたりの背中を見て、しっかり吸収してほしいと思います。村上(宗隆)たちの若い世代がもっと成長して、いい競争が生まれれば野村(克也)監督の頃のような強いヤクルトになるんじゃないかと楽しみにしています」

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