「ペース配分をするな」ラミレスが選手、監督として実践した「対パ」対策 (4ページ目)

  • 長谷川晶一●取材・文 text by Hasegawa Shoichi
  • photo by Sankei Visual

 しかし、こうした考えこそ、「セ・リーグの変化球偏重」の傾向をさらに推し進めることになり、よりパ・リーグとの差が開いてしまうことになるのは皮肉なことだ。だからこそ、レギュラーシーズンでは次のような指導を徹底していたという。監督時代に出版された『CHANGE!』(KADOKAWA)にはこんな一節が記されている。

「監督になった暁には、自軍の投手陣には内角攻めを確実に覚えてもらおうと考えていた。投手陣に対する要求の1つとして、投球の7割が内角、3割が外角というプランを私は持っていた」

 監督を務めた5年間、「投球の7割が内角」は実践できたのかを問うと、ラミレス氏の白い歯がこぼれた。

「監督初年度の最大の改革が、キャッチャーに対して『もっとインサイドを要求しろ』ということでした。確かに、それまでよりは内角へのサインは増えました。それでも私からすればまだアウトコース中心の配球でした。キャッチャーだけでなく、ピッチャーの意識の中にも、『デッドボールを与えたらどうしよう......』という恐怖心がありました。一度、打者に当ててしまうと、インサイドを立て続けに攻めることができなくなる。そんな状態はまだまだ続いていますね」

 前回の話と総合すると、セ・リーグ投手陣が積極果敢に打者のインコースを攻めるようになるためには、投手の球速を上げて内角攻めへの自信を持つことを前提として、投手は打者の胸元をえぐることを恐れないこと。捕手はどんどんインサイドへのサインを出すこと。そんな「意識改革」が求められていることがよく理解できる。

(後編:セ・リーグにDHはいらない>>)

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