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福留孝介が語る野球人生の危機。
その経験から「根尾はショートに固執すべき」 (4ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Sankei Visual

 43歳の福留だって、今もなお固執し続けている。ドラゴンズでは、ここ一番の代打? 若手の手本? 冗談じゃない──当然、狙うのは開幕スタメンの座だ。

「もちろん、そのつもりでやってますよ。ユニフォームを着ている以上、プレイボールからグラウンドに立っていたいという思いはあるんでね。それぐらいの準備をしないと無理なんですよ。最初から代打で、なんて思っていたら戦えない。僕はドラゴンズでもう一回、生き返ってやろうと思っているんです。ここを死に場所だなんて思ってない。だって去年、クビになってますからね。野球選手としては一度、死んでますから、そういう意味で生き返ってやろうと思ってます。まぁ、そんな大袈裟なもんじゃなくて、『この野郎、見てろよ』って、そのくらいの気持ちなんですけど(笑)」

 日本で17年、7723打席、メジャーで5年、2276打席──福留はこれまで9999打席、プロとして戦いの場に立ってきた。23年目、次の打席はちょうど10000回目のアットバットになる。

「へぇー、そうなんですか。知らなかった。最初の打席がドラゴンズで、10000回目もドラゴンズか......そういうのを聞くと、すげえなと思いますね。よくそれだけ打席に立ってきたよなぁ。思い出すのは、デッドボールで骨折したとか、そんなのばっかりだけど、僕は一回も野球に飽きたことがなかった。野球をやめたいとか、もうやりたくねえとか、オレには無理だとか、そんなふうに思ったことは小さい頃から一回もなかった。それも、こうやって今でもプレーできる身体の強さがあったことが大きかったと思います。練習をやっても壊れない。さらに練習ができるから、もっと壊れにくい身体が出てきてくれる。

 去年、初めて、野球をやめなくちゃいけないかもしれないと思って......どこからも声がかからなければやめるしかないし、そうなったら、それもまた僕の野球人生なのかなと一瞬、思いました。でもドラゴンズに声をかけていただいて、またユニフォームを着て野球ができる。それがこんなにありがたいことだとは......今は、本当によかったなあという、そんな感謝の気持ちしかありません。僕もそれなりに歳、取ったでしょ(笑)」

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