アキレス腱断裂で「一発必中の精神」へ。
門田博光は鳥肌を立てて打席で集中した (5ページ目)
そう考えると、その後の結果はわからないが、アキレス腱断裂がなかったとしても、やがて門田はホームランアーチストとしてのスタイルを確立していたのではないか。ただ、そうだとしてもひとつ思うのは、なぜそこまでホームランでなければならなかったのか、ということだ。その疑問に、門田はシンプルな答えを返してきた。
「バッターにとって一番の成功はホームラン。ヒットは完全な成功やないでしょ? もちろん、風が運んでくれたというホームランもあるけど、やっぱりバッティングの完璧なひとつの結果がホームラン。なら、オレらはプロの打撃職人なんやから、そこを求めなあかんでしょ」
打撃職人が完璧な打撃を求めるなかで残した567本のアーチ。打者としてプロの世界に進んだ以上、門田のなかにホームランに挑まないという選択肢などそもそも存在しなかったのだろう。
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