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ヤクルトのセ・リーグトップの数字は
高津監督の「信念」の表われだ

  • 島村誠也●文 text by Shimamura Seiya
  • photo by Kyodo News

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 8月4日、神宮球場。ヤクルトの高津臣吾監督は試合前、選手たちが果たしてくれている役割について「総括みたいになって嫌なんですが(笑)」と前置きして、こう振り返った。

「(前年最下位など)いろいろな思いがあってスタートしたシーズンでしたからね。もちろん、できること、できないことはたくさんありますけど、選手たちは耐えながら、我慢しながらよくやってくれています。歯を食いしばってやらないといけないこともたくさんあるのですが、そのなかで頑張ってくれています」

苦しい戦いが続いているヤクルト高津臣吾監督苦しい戦いが続いているヤクルト高津臣吾監督 開幕前はほとんどの解説者がヤクルトの最下位を予想したが、7月12日には首位に躍り出るなど、この時点でチームは2位と奮闘していた。

 ここまで、就任1年目の高津監督は大胆な選手起用を見せている。一軍経験の少ないキャッチャーの古賀優大を先発起用したり、俊足好打の山崎晃大朗を5番に任せたりもした。

「僕は失敗をあまり恐れないというか、もちろん選手起用がうまくいかない時のことは想像しますが、そのことに対して憶病になるのがすごく嫌なんです。当たって砕けろというのですかね。ミスを恐れた采配や起用は絶対にしたくない。打てなくても、打たれても、それも野球の一部だと思って割り切っています」

 たとえば、ある試合でヤクルトの2点リードの7回表に、山田哲人に代えて3年目の宮本丈をセカンドの守備に就かせたことがあった。高津監督は言う。

「(山田を7回で下げることは)すごく勇気がいります。でも、彼のこと、チームのことを考えて、自信を持って宮本を送り出しました。代えると決めた時は腹をくくっているので、結果がどうなっても後悔はないです。みんながいろいろな経験をして、次に生かしたプレーができたら選手としてもチームとしても成長していけるんじゃないかと思っています」

 宮本は試合を重ねるごとに成長を感じさせ、今では先発メンバーに名を連ねても驚きはない。高津監督も「不器用なんだけど、サインが出ればそのことを一生懸命できる選手」と評価している。

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