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18歳、プロ入り直前の堂林翔太は言った
「シーズン200安打を目指したい」 (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Koike Yoshihiro

 プロ3年目の2012年には全試合に出場、チーム最多となる14本のホームランを放つ。同時に、エラーが多い、三振も多いという派手なところもファンの心を惹きつけた。何しろ球団史上ワーストとなったシーズン150三振を記録したその年のオフには、球団が『フルスイング!この先に大きな希望がある』と銘打っての"堂林翔太150三振写真展"を開催したほどだ。

すべての三振の写真が集められ、マツダスタジアムのカフェに飾られていたのだが、写真展が行われるだけあって、堂林の空振りはじつに絵になっていた。こんなふうに思わされたのはあの長嶋茂雄さんだけだったと、本気で思ったものだった。

 ただ、その時に気になったことがある。

 それは、三振の写真の中に崩されての空振りがかなりあった、ということだ。堂林の三振には、変化球に崩され、ボール球を振らされ、右手がバットから離れてしまっている空振りがたくさんあったのである。

 そんな違和感が、その後の堂林の苦悩につながっていく。プロ5年目以降、出場試合数は2ケタが続いた。未完の大器のまま、伸び悩む堂林......課題は明らかだった。打ちにいくとき、左足に体重が乗りすぎて、頭が突っ込む。そうすると、ボールになる低めの変化球を振ってしまうのだ。

 その悪癖を治そうとノーステップで打ったり、神主打法を取り入れたり、腕の反動ではなく軸で打てるフォームを身につけようと左腕をゴムチューブで体に巻き付けてティーバッティングに励んだこともあった。それでも結果がついてこない。昨シーズンはついに28試合の出場に止まり、打率も.206と、プロ10年目にして自己ワーストの数字を残してしまった。

 ところが、である。

 約3カ月遅れで始まった今シーズン、ついに未完の大器が覚醒した。6年ぶりの開幕スタメンを勝ち取った堂林は、無観客のスタンドに幾度となく快音を響かせたのだ。開幕2試合目の6月20日、ベイスターズ戦で4安打の固め打ち、6月25日のジャイアンツ戦では1121日ぶりとなるホームランを東京ドームで放つ。レフトの看板を直撃する、特大の一発だった。

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