2020.07.24

18歳、プロ入り直前の堂林翔太は言った
「シーズン200安打を目指したい」

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Koike Yoshihiro

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 インコースを鮮やかに打ち返した時の右バッターのシルエットは美しい。その昔で言えば山内一弘のシュート打ちが有名だが、ナマで観た記憶はない。記憶にあるのは石嶺和彦、落合博満、今岡誠、和田一浩……最近では坂本勇人や山田哲人がインコースをファウルにせず、ヒジを畳んで見事にレフト方向へ打ち返すシーンを何度も見た。

入団3年目の2012年には全試合に出場した広島・堂林翔太 そんな中、インコースを打ち返すシルエットにひときわ美しい高校生がいた。それが今から11年前、夏の甲子園で全国制覇を成し遂げた中京大中京(愛知)のエースで4番、堂林翔太だった。堂林は決勝で対峙した日本文理のエース、伊藤直輝が投じたインコース低めのストレートを鮮やかに弾き返し、レフトフェンスにダイレクトで届くライナー性のツーベースヒットを放った。このときの堂林のシルエットに衝撃を受けた。力強さとスマートさの同居した、じつに美しいシルエットだった。

 その年の暮れ、名古屋にある中京大中京へ堂林を訪ねた。そして、夏の甲子園の決勝戦で打った、あのインコースのボールについて訊ねると、彼はこう言っていた。

「自分の場合はインコース打ちには自信があります。小学校の時から窮屈でもボールの内側を見て、腕を畳んで叩くことを意識してきたんです。練習していくうちに自然と感覚を掴んで……打つときに、このタイミングでボールとの距離を取れば自分なりにインコースは捌けるという感覚を掴みました。それで腰をうまく回せれば、レフトに大きいのも打てます。

 プロでは、シーズン200安打を目指してやっていきたいと思っています。右バッターでは、まだひとりも達成した人がいないんで……右では完璧な当たりじゃないとなかなかヒットにならないし、それだけ自分の技術を磨いてレベルの高いバッターにならないと、そういう数字には届きませんからね。

 自分はもともとホームランを打つタイプのバッターではないし、とにかく数多くのヒットを積み重ねて、率を残せるバッターになりたい。アウトコースを右中間へホームラン、インコースはレフト線へツーベースを打てる右バッターになりたいんです」

 これ、11年前の堂林の言葉である。

 その後、カープに入団した堂林は『鯉のプリンス』と呼ばれ、期待され続けてきた。