巨人・湯浅大の守備は「お掃除ロボット」。坂本勇人の後継者となるか (3ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Sankei Visual

 その一方で、バッティングは少々時間がかかるだろうと思っていた。ところが3年目の今季、宮崎キャンプで見た湯浅のスイングに驚かされた。コンパクトな振り幅ながら、インパクトで強烈なパワーが炸裂するスイングに様変わりしていた。きっと体幹を鍛え、懸命にバットを振ったのだろう。

 開幕前の練習試合で、湯浅は新型コロナウイルスの陽性反応が出た坂本勇人に代わり何度かスタメン出場を果たした。5割近い打率を残し、2本塁打を放つなどバッティングでアピールした。

 開幕戦は復帰した坂本に譲ったが、3戦目には「1番・セカンド」で先発出場を果たした。

 以前、あるスカウトにこんな話を聞いた。

「守備に不安のない選手は、間違いなく試合に出られるチャンスが増える。そこで経験を積んでいくうちに、バッティングも向上してくる。宮本慎也(元ヤクルト)だって、入団当初は誰も2000本安打を打つなんて思っていなかったはずです。だから、守備のいい選手というのは急激に成長するんです」

 今シーズンは120試合とはいえ、過密日程が続き、腰に爆弾を抱えている坂本も全試合出場は容易ではない。どうしたって、若手、控えをひっくるめた総力戦になるはずだ。その時、湯浅の間違いないフィールディングと意外性を秘めたバッティングが必要になってくる。

 ドラフト8位入団、背番号93の男が、「坂本勇人の後継者」として着実にキャリアアップしている。

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