甲子園に愛された黒川家。全国V経験者の父が語る3兄弟の違いと指導法 (5ページ目)

  • 沢井史●文 text by Sawai Fumi
  • photo by Koike Yoshihiro

 そう語る洋行さんだが、それでも最終的に本人の意志を尊重したのは、黒川の性格もあった。

「史陽じゃなかったら反対していたと思います。アイツならなんとかなると思わせる姿勢が普段からありました。自分から進んで練習しますし。家族会議を何度も重ねたうえで、最終的には史陽がやりたいようにやれば......という結論になりました」

 昨年のドラフトで楽天から2位指名で入団。2月の春季キャンプでは一軍に帯同するなど、高卒ルーキーながら高い評価を得た。これからの活躍が楽しみでならない。

 三男も自らの意志で星稜へと進んだ。昨年秋、左ヒジの手術をし、冬場はリハビリなどに時間を費やしたが、ふたりの兄に負けない野球センスを持ち、2年生ながら星稜の主力として期待されている。

「3人とも進学先については大正解でした。星稜の林(和成)監督と僕は同い年で、いろいろと気を遣っていただいています。日南学園、智弁和歌山もそうでしたが、やっぱり安心できるところでないと預けられません。すべて本人たちが決めましたが、自分たちが『ここなら成長できる』と思ったのでしょうね。ただ、息子たちと高校進学の話になると、まず『上宮は?』って聞きましたけどね(笑)」

 今後、長男の大雅は教職をとり、大学卒業後は指導者の道を志すという。次男・史陽はこれから本格的にプロの世界での戦いがスタートする。三男・怜遠は高校野球界でどんな成長曲線を描いていくのか、楽しみでならない。

 どんな世界に身を置こうが、親として息子たちに願うことはただひとつだと洋行さんは言う。

「人の気持ちがわかる大人になってくれたら......それだけですね」

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