中村奨成が鈴木誠也のゲキに危機感「そんなことやっていると消えてしまう」 (2ページ目)

  • 前原淳●文 text by Maehara Jun
  • photo by Koike Yoshihiro

 そして3年目の春に初めて一軍のレベルを感じ、自分の現在地がわかった。足りないものを痛感されられたことは決してネガティブなことではない。明確な意思を持って前進していける原動力になる。

「考え方ひとつでいろいろ変わってくると思う。実際、行動に移して、失敗に終わることもあると思いますけど、それも経験。昨年までとは違うチャレンジをしたい」

 これまでも技術面以上に、精神面での指導を受けてきた。オフに母校に行った時には、恩師である広陵高の中井哲之監督からも叱咤激励を受けた。

 強肩、打撃センス、また甲子園で本塁打記録を塗り替えたスター性は誰もが認めるところ。だが、プロでは自らの力で切り開いていかなければ道は開けない。

 広島の4番であり、日本の4番に成長した鈴木誠也は、オフに珍しく若手へのメッセージを送った。

「僕は3年目にレギュラーを獲らないとクビになると思っていた。1年目からレギュラーを獲るつもりだった。今の子たちは遅い。ゆっくりやっているように見える。『そんなことをやっていると消えてしまうよ』と伝えたい。そんな甘い世界じゃない」

 決して口だけではない。高卒1年目で一軍デビューを果たした2013年オフ、毎日のように大野練習場で打撃マシンと対峙する鈴木の姿があった。その後、レギュラーとなり、4番となっても「気を抜いたらいけない」と、常に危機感を持っているからこそ、今なお成長しているのだろう。

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