甲子園ではスタンドから応援。「元補欠」育成5位が巨人一軍を目指す (5ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Sankei Visual

 松原のセールスポイントは、確実性のあるバッティングとスピード。メジャーリーグで長く活躍し、2019年からジャイアンツに在籍している岩隈久志は、松原のバッティングを見て「二軍の選手のバッティングじゃない」と驚いたというエピソードがある。

「僕はホームランバッターではないので、ヒット+盗塁で勝負します。プロのすごい選手たちを見て、そう思いました。プロに入ってから、スタートの仕方、リードの取り方、スライディングもすべてコーチに教えてもらいました。走塁のコツが少しわかるようになってから、走ること、走塁の魅力にハマっていきました。盗塁の魅力は、癖を盗んだり、スキを突いたりするところ。相手との読み合いが面白いです」
 
【いつ花が咲くかはわからない】

 プロ野球を見渡してみると、少年時代、アマチュア時代に「エースで四番」だった選手ばかり。松原ほど、補欠の気持ちがわかる選手はいない。控えに甘んじている若い野球選手に対して、彼はこんなメッセージを送る。

「野球に限らず、そのスポーツを好きだからやっているのだと思います。競技を素直に楽しむようにすると、絶対に嫌いにはなりません。実際に僕はそうしてきました。

 今いるチームではなかなか出番がないかもしれないけど、そこで終わりじゃない。チャンスはいつ巡ってくるか、いつ花が咲くかはわかりません。だから、あきらめないでほしい。高校野球がすべてじゃないし、甲子園で終わりじゃないですから。少年野球の時に僕の控えだった選手も、社会人野球でバリバリ活躍していますしね」

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