甲子園ではスタンドから応援。「元補欠」育成5位が巨人一軍を目指す (3ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Motonaga Tomohiro
  • photo by Sankei Visual

 松原がスタンドで応援する仙台育英は2012年夏の宮城大会で優勝し、甲子園では3回戦まで勝ち上がった。仙台育英のチームメイトが戦う姿を、松原はどんな気持ちで見ていたのか。

「みんなが甲子園でプレーするのを見て、素直にうれしかった。自分がユニフォームを着れなくて悔しいという思いはありませんでした。みんなが甲子園で、強い相手と戦うのを見て、『すごい』と思いながら応援していました」

 高校に進学する時に描いた、甲子園に出るという夢は実現しなかったが、松原には「やっぱり、野球は楽しい」という思いがあった。

「最後の夏の大会が終わってからも、僕はガンガン練習していました。むしろ、現役を引退したあとのほうが意欲的だったかもしれません。逆にレギュラーの中には燃え尽き症候群みたいになって、練習に身が入らない選手もいました」

 高校時代、プロ野球選手になることなど頭の隅にもなかった。ただ、野球を続けたいと強く思っていただけ。

 松原が進んだ明星大学は、首都大学リーグ2部のチーム。名門でも強豪でもない環境が合っていたのかもしれない。ポジションを内野(主に二塁手)から外野に変えて、首都大学リーグ2部において、2年春から5シーズン連続でベストナインに選ばれた。

「打率はずっと3割5分を超えていました。自信がついてくると、もっと野球が楽しくなる。そうするといい結果がついてくる。少年野球の時のような楽しさを思い出しました。4年生になった時、監督から『育成ならプロに行けるかもしれない』と言われ、チャンスがあるならプロで! と考えました」

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