2020.03.26

まさか!のロス五輪韓国戦に先発。
吉田幸夫が一世一代の投球を見せた

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

野球日本代表 オリンピックの記憶~1984年ロサンゼルス大会
証言者・吉田幸夫(1)

 1984年8月1日、ロサンゼルス五輪の予選リーグ。ドジャースタジアムで行なわれた日本の初戦の相手は、強豪・韓国だった。相手の先発は当時、高麗大の4年生だった宣銅烈(ソン・ドンヨル/元中日)。日本の先発は右のアンダーハンド、プリンスホテルの26歳、吉田幸夫だった。

ロサンゼルス五輪の初戦の韓国戦で好投した吉田幸夫 もう36年も前のことになるんですね。ロサンゼルス五輪といえば、今でも超満員のドジャースタジアムで戦った決勝のことが真っ先に思い浮かびます。ただ個人的な話をさせていただけるなら、私は最初に投げさせてもらった韓国戦のことが強く印象に残っています。

 あの試合の先発は、予定では宮本和知くん(川﨑製鉄水島/現巨人投手チーフコーチ)だったんです。当日の朝、松永(怜一)監督に呼ばれて、急遽、「今日はお前が投げろ」と……うれしくてうれしくて、すっかり舞い上がっちゃいましてね。

だって、日本代表ですよ。日の丸をつけて、しかもオリンピックの初戦に先発でしょ。まして相手はアジアでナンバーワンを争う韓国で、エースがあの宣銅烈でしたからね。そんなチームを相手に投げさせてもらえるなんて、感無量でした。そんな責任あるマウンドを任されて、結果を残せなかったら自分だけじゃなくて、日本の恥になってしまいます。そういう意味でモチベーションも高かったし、すごく強い気持ちでマウンドへ向かいました。