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まさか!のロス五輪韓国戦に先発。
吉田幸夫が一世一代の投球を見せた (3ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • photo by Kyodo News

 和歌山県の田辺市で生まれて、小学校も中学校も学年1クラス。だから同い年の23人がずっと同じクラスなんですよ。野球部とバスケットボール部と、あと陸上部があったのかな。でも掛け持ちの子がいっぱいいて、私も野球部でしたけど市の陸上大会に出て、砲丸投げで市の2位になりました。野球のほうは軟式で、優勝経験もなく、どこかの強豪校から声がかかるなんてこともないまま、自分の行ける高校へ行こうということで地元の南部高校へ進んだというわけです。

 そんな田舎の県立高校を出た私がオリンピックで投げられるんですから、当時、ほかの公立高校の人たちにも夢を持ってもらえるんじゃないかと思っていました。甲子園に出られなくても、東京六大学に進学できなくても、あきらめずに頑張っていたらこういう機会に巡り会うことができるんだと、そんなことを感じていた記憶があります。

 吉田はアンダーハンドから繰り出す、威力のあるストレートを武器としていた。高めに浮き上がるようなストレートを投じて、次々と三振を奪う。下から投げるピッチャーはまだ海外では珍しく、国際試合では吉田の球筋に慣れないスラッガーが空振りを繰り返した。

 私の真っすぐ、当時からすれば、かなり速かったみたいです(笑)。だからキャッチャーも困った時のサインはいつも真っすぐでした。私もかなり向こうっ気の強い方でしたから、真っすぐはインコースの高めをめがけて、どんどん投げ込みました。

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