元ホークス吉村裕基はオランダ→沖縄へ。
NPB131本塁打の男が選んだ道

  • 広尾晃●文 text by Hiroo Koh
  • photo by Hiroo Koh

 琉球ブルーオーシャンズのキャンプ地である沖縄・東風平(こちんだ)球場のネット裏で、吉村裕基は快活な表情を見せた。両腕の筋肉は入道雲のように盛り上がり、とても2年前にNPBを退いた選手とは思えない。

沖縄という地に可能性を感じたと語る吉村裕基沖縄という地に可能性を感じたと語る吉村裕基 吉村は2002年に東福岡高校からドラフト5巡目で横浜ベイスターズ(現・横浜DeNAベイスターズ)に指名された。

「もともと高校ではピッチャーをやっていたので、同級生からは『ピッチャーでプロに行くの?』と言われましたが、スカウトの方からは外野かサードだなと」

 奇しくも、同年のドラフトで横浜が自由枠で指名したのが、高校の4年先輩で日大時代に20本塁打を打った大学屈指の強打者・村田修一だった。村田も大学に進学して、投手から野手に転向していた。

「大卒の即戦力と高卒じゃ、全然立場が違いました。でも、やるからには先輩を追い越したいと思っていたんですけどね」

 こうしてプロの世界に足を踏み入れた吉村は、内野手として3シーズンを過ごしたが一軍定着はならなかった。おもに一塁を守ったが、守備でも迷いがあった。

「今になってみればわかるんですけど、ゴロを『正面に入って捕れ』って言われると、体がガチガチになっちゃうんですよ。去年、アリゾナでMLBのキャンプを見させてもらったのですが、向こうの選手はそういう動き方はしません。自分の動きやすい体の使い方を考えている。僕はまず、そういうところで行き詰まってしまった......」

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