戦力外通告後、村中恭兵はなぜ
ウインターリーグでのプレーを選んだのか
近年、日本のプロ野球から世界各地のウインターリーグに参戦する選手は急増している。その多くは、球団が提携を結んでいるチームに派遣するというものだが、自分で受け入れ先を探し、球団に許可を得て海を渡るケースも少なくない。
ウインターリーグに参加している選手の半分は、自らを「フリーエージェント」と名乗る。日本では「選ばれし者の特権」と思われているこの言葉も、直訳すれば「自由契約」。北半球のリーグで所属球団からクビを言い渡された者たちが、冬場に食いつなぐため、あるいは所属先を探すべく自ら売り込むために集まるのがウインターリーグという場なのだ。
戦力外通告後にトライアウトを受けた村中恭兵だったが、どこからも声はかからなかった だから、彼らは目の色を変えて必死にプレーする。今、オーストラリア・ウインターリーグに参戦している元ヤクルトの村中恭兵の立場はまさにこれで、日本から"野球留学"で来ている選手とはまったく立場が違う。
多くのケースは、日本の球団に籍を置いたまま、海外に武者修行に行く"野球留学"だ。彼らは日本ではない土地でのプレーに、口を揃えて「楽しい」と言う。日本人選手の野球留学は、オフのちょっとした体験型の海外旅行なのかもしれない。昨シーズン終了後、ヤクルトを戦力外となった村中がプロ2年目にハワイでプレーしたもの同じケースだった。しかし、そうした「楽しさ」も日本での所属球団があってこそである。
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