移籍1年目の炭谷銀仁朗が感じた
「パの投手と巨人の若手の違い」 (2ページ目)
──ちなみに、少年時代に好きだった球団は?
「地元は京都なんですが、なぜか周りには巨人ファンが多く、僕もそのひとりでした。とくに現役時代の監督(原辰徳)が好きで、東京ドームに背番号8のTシャツを着て応援しに行ったこともありましたよ」
──そんな原監督から、FA時にかけられた言葉などはありますか?
「FA宣言をした後に、原監督から直々に連絡をいただいたんです。携帯に登録されていなかった番号で、最初の電話に出ることができなかったんですが、それが原監督の番号とわかってすぐに折り返しました。その時に、『来年、優勝したいから力を貸してくれ』と言ってくださって。巨人への移籍を決意する大きなきっかけになりました」
──そんな期待に応え、徐々にスタメンで出場する機会が増えていますし、エースの菅野智之投手とのコンビも多くなっていますね。
「今季の智之は、誰が見ても本来の姿ではないですよね。そんな中でも、これはすべての先発投手をリードする際に意識していることですが、何とか勝ちをつけてあげたいと思っています。まずはゲームを作ることから考え、失点をして接戦になっても『1点でも失点が少なければ勝つ』というプランを描きながらリードをしています」
──その考えは西武時代に培われたものですか?
「そうですね。岸孝之(現楽天)さん、涌井秀章(現ロッテ)さん、菊池雄星(現シアトル・マリナーズ)などが登板する時には、相手チームもエースが投げることが多いので、勝ち星が伸びていかないこともありました。そういう厳しい試合で勝つことが、気持ちの面でも"いい薬"になると感じていました」
── 一方で、成長株の桜井俊貴投手はじめとした若手投手をリードする際に意識していることは?
「手が縮こまっていてはいいボールが投げられないので、伸び伸びとやらせることを大切にしています。でも、『意図を持って投げてくれ』とも伝えていますね。何も考えずに投げて、今日はよかった、悪かったでは成長しないので」
──具体的に、"意図を持って投げる"とはどういうことですか?
「たとえば、僕がカーブのサインを出した時に、ストライクを取りにいくのか、ストライクからボールになる球で空振りを取りにいくのか、というところまで考えて投げてもらいたいということです。意図があって投げたボールが失投になってしまっても、それは単なる技術不足なので仕方がないこと。そこに至るプロセスがあって初めて、結果に対する反省と改善ができるようになりますから」
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