2019.07.25

ミランダを日本での成功に導いた
「小さなグラブ」と「アリガトウ」

  • ブラッド・レフトン●文 text by Brad Lefton
  • photo by Koike Yoshihiro

 アリエル・ミランダにとって、昨シーズンはまさに怒涛の1年だった。キューバ共和国のハバナ出身の左腕は、シアトル・マリナーズ傘下の3A・タコマでプレーしていたが、ソフトバンクと契約するため7月4日に解雇が決まった。そして来日すると、先発投手としてパ・リーグの激しい優勝争いに加わった。

昨年のシーズン途中で来日し、6勝をマークするなど日本一に貢献したミランダ ソフトバンクに入団してから8試合で6勝1敗、防御率1.89。リーグ優勝こそ逃したが、ポストシーズン進出に大きく貢献。チームはクライマックス・シリーズ(CS)を勝ち抜き、広島と日本シリーズを戦うことになった。

 1敗1分で迎えた日本シリーズ第3戦。ミランダの好投でシリーズ初勝利を挙げたソフトバンクは、そこから4連勝を飾り、2年連続日本一に輝いた。

 ミランダにとっては、日本の文化や言葉に慣れる暇もなく、ただ生き残ることに精いっぱいの4カ月だった。

 だが、今年は違う。2月1日のキャンプに合わせて、心身ともにリラックス状態で来日した。今年こそゆっくり日本の野球に溶け込みたいとミランダは思っている。

 ミランダを見て、まず驚かされるのが右手にはめるグラブの小ささだ。なぜ188センチもあるミランダが、こんな小さなグラブを選んだのかを聞くと、こんな面白いエピソードを教えてくれた。

「昔はもっと小さいグラブを使っていました。しかし、マリナーズに移籍して、あるピッチングコーチに言われたのは、セットポジションに入って、グラブのなかでグリップ(握り)を決める時に、相手から見られる可能性があると。そうなると球種がわかってしまうので、もうちょっと大きいグラブを使ったほうがいいんじゃないかとアドバイスされました。それで大きめのグラブに変えたんです」

 グラブは手のひらの下の部分から指先までの長さをインチで測り、メジャーでは捕手以外のポジションは13インチまでという規定がある。現在、ミランダは11.5インチの小さなグラブを使っているが、マリナーズのコーチに言われるまでさらに小さい11インチのものを使っていた。それは手の大きさよりもわずか2、3インチ長いだけのものだった。