ロッテ・鈴木大地、泣きそうになってからの
今季前半の好調を自己分析

  • 寺崎江月●取材・文 text by Terasaki Egetsu
  • photo by Kyodo News

 井口資仁監督のもとで2年目のシーズンを送るロッテは、7月23日時点で順位はパ・リーグの5位ながら、3位の西武までは3.5ゲーム差。CS進出、さらに上も目指せる位置にいる。

 今季のチームの大きな変化は、チーム本塁打数の多さだ。ホームスタジアムの外野スタンド前方に「ホームランラグーン」ができた影響もあり、現時点でリーグ2位の107本と、昨季の通算本塁打数(78本)を大きく上回っている。

 そんなロッテの新選手会長で、開幕から好調を維持する鈴木大地に、ここまでの戦いとシーズン後半戦の意気込みを聞いた。

今季から選手会長としてロッテをけん引する鈴木大地今季から選手会長としてロッテをけん引する鈴木大地

──選手会長として戦った今季の前半戦で、とくに印象深かった試合はありますか?

「チームとしては交流戦中の6月16日、9回裏に5点差をひっくり返して勝った中日戦ですかね。あんな大逆転は滅多に経験できることではないですし。個人的には、開幕2戦目の楽天戦(3-9で楽天の勝利)でしょうか」

──その試合については、これまでにも「印象的な試合」として話されてきたと思うのですが、あらためて当時を振り返っていただけますか?

「7回裏2アウト走者なし、3-9のビハインドの場面で、8番・田村(龍弘)の代打として声がかかりました。僕は開幕スタメンを逃し、2015年から続いていた連続試合出場も532で途切れて、"どう打席に立てばいいのか"を定められないまま準備をしていたんです。

 どんな声援をもらえるのかも予想がつかなかったんですが、僕の名前がコールされると、想像していた何百倍もの声援が沸き起こりました。感極まって泣きそうになり、緊張もしましたけど、ファンの方たちの後押しがあってレフト前に運ぶことができた。この場面は、今季の前半戦だけではなく、これまでの野球人生の中でも一番のシーンです」

──いつ頃、開幕スタメン落ちを告げられたのでしょうか。

「開幕3日前の練習日に、井口監督と鳥越(裕介)ヘッドから部屋に呼ばれ、『スタメンではないけど、代打のトップで考えている』と言われました。外される覚悟はできていましたから落ち込むことはなく、逆に『やってやる』という気持ちが強くなりましたね」

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