今井達也に見たクレバーさと変化。
甲子園優勝投手から西武のエースへ

  • 中島大輔●取材・文 text by Nakajima Daisuke
  • スポーツニッポン新聞社/時事通信フォト●写真

「鬼門」ヤフオクドームでソフトバンクに開幕3連敗。昨季のパ・リーグ王者・西武は開幕カードに3人のドラフト1位投手を送り込んだなか、厳しい幕開けとなった。2カード目のロッテ戦では山賊打線が爆発して勝ち越したように、どれだけ打ち勝つ試合を増やせるかがリーグ連覇のカギになるだろう。

「ウチにエースはいない」

 辻発彦監督が2019年の球団ファンブックでそう語ったが、果たして誰が菊池雄星(シアトル・マリナーズ)からエースの称号を受け継ぐのか。筆頭候補は昨季最多勝の多和田真三郎だが、伸びしろという点で大きな可能性を感じるのが、1軍デビューを飾った昨季に15試合で5勝5敗・防御率4.81だった高卒3年目の今井達也だ。

今シーズンの開幕ローテーションに入った今井達也今シーズンの開幕ローテーションに入った今井達也「もちろん期待しています。キャンプから、投げることに対して貪欲になっていたので」

 1990年代中盤から2000年代中盤まで西武のエースとして君臨し、現在1軍で指導する西口文也投手コーチはそう話した。"投げることへの貪欲さ"について、西口コーチは「投球フォームの追求」と説明する。

「自分に合ったリリースポイントをわかっていれば、ある程度自分が思っているところに投げられるようになってくるのでね。去年に比べれば、制球力も上がっていると思います。気持ちの面でも、成長してくれているだろうと思うので。あとはゲームで結果を出していくことが、より一層本人の自信にもつながってくると思うし。この前は負けましたけど、球自体はよかったし、何の心配もしていないですね」

 今井は3月30日、開幕2戦目のソフトバンク戦で今季初登板に臨むと、5回途中6失点で負け投手になった。ただし1球1球の質を見ると、150km台のストレート、切れ味鋭いスライダー、相手打者のタイミングを外すチェンジアップなど、西口コーチの言うように高いレベルに達している。

 ソフトバンク戦後、今井自身はこう振り返った。

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